【初心者が分からない】どのエクササイズから始めるべき?トレーニング種目の順番

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今回は「どのエクササイズから始めるべきか?トレーニング種目の順番」について、初心者にもわかりやすく説明していきます。トレーニングを効果的に進めるためには、種目の順番が非常に重要です。

正しい順序でトレーニングを行うことで、怪我のリスクを減らし、効果を最大限に引き出すことができます。

前半は、運動初心者でも分かる内容となっています。後半は専門的な内容をまとめています。
気になる人は最後までご購読ください。

目次

トレーニング種目の順番は効果に影響を及ぼす

まず、トレーニング種目の順番がどのようにトレーニングの成果に影響を与えるのかについて話しましょう。

研究によれば、種目の順番によって、

筋力の向上には違いが見られる

最初に行われた種目ではより大きな筋力向上が確認されており、

一方で筋肥大に関しては、

種目の順番の影響が少ない

ことが報告されています。

筋力というのは、筋肉がどれだけの力を発揮できるかを示すもので、重い物を持ち上げる力やスポーツにおけるパフォーマンスに直結します。

対して筋肥大は、筋肉が大きく成長することを指しますが、この点に関しては種目の順番による差はあまり見られないということです。

【初心者】トレーニング種目の順番

基本的なルール

次に、トレーニング種目の順番を決める際に考慮すべきポイントを3つ紹介します。

1. フォーム修得が難しい&危険度の高い種目からスタートするのをオススメ

フォームが難しい種目や、重量を扱うリスクが高い種目は、疲労が少ないトレーニングの最初に行うのが理想的です。例えば、

  • スクワット
  • デッドリフト

といった全身を使う種目は、正しいフォームで行わなければ怪我のリスクが高まります。これらのエクササイズを最初に行うことで、集中力が高く、体力が十分な状態で取り組むことができ、正しいフォームを維持しやすくなります。

また、これらの種目は複数の筋肉を同時に使うため、全身の筋肉を効率的に活用できます。
最初に大きなエネルギーを消費するエクササイズを行うことで、トレーニングの効果を最大化できます。

最初に大きなエネルギーを消費するトレーニングで効果を最大化する

2. 伸ばしたい種目を最初の方に持ってくる

次に、自分が特に鍛えたい部位や伸ばしたい種目は、トレーニングの最初に行うべきです。疲労が少ない状態で行うことで、その部位に十分な負荷をかけることができ、トレーニングの効果が高まります。

たとえば、胸の筋肉を重点的に鍛えたい場合は、ベンチプレスなどの胸部に効くエクササイズをトレーニングの序盤に持ってくることが効果的です。

逆に、後半に持ってくると疲労が蓄積され、十分な負荷をかけることが難しくなります。

鍛えたい部位も最初の方に取り入れる!疲労の蓄積を考慮した順番を選定しよう!

3. 拮抗する筋肉を交互に取り入れる

「拮抗筋」とは、互いに反対の動きをする筋肉のことを指します。

例えば、胸を鍛えるベンチプレスと、背中を鍛えるローイングが拮抗する関係です。

拮抗筋を交互にトレーニングすることで、筋肉のバランスが良くなり、筋肉同士が協力して働くようになります。
これにより、怪我のリスクも減少し、体全体のバランスを保ちながら効果的に鍛えることができます。

例えば、胸のエクササイズを行った後に背中のエクササイズを行うと、休息の時間が少なくてもお互いの筋肉が疲れにくくなり、効率的なトレーニングが可能です。

表があれば裏もあるように、拮抗する筋肉同士をバランスよく鍛えよう!

実際のトレーニングの流れ

これまで紹介したポイントを基に、トレーニングの具体的な流れを考えてみましょう。

1. ウォーミングアップ

まず、トレーニングを始める前にはウォーミングアップが必要です。ウォーミングアップには、軽い有酸素運動やストレッチが含まれ、筋肉を温め、関節を動かしやすくすることが目的です。

これにより、怪我のリスクが減り、エクササイズのパフォーマンスが向上します。

2. 大きな筋肉を使うエクササイズから

トレーニングの最初は、先述したように、スクワットやデッドリフトのような全身を使うエクササイズから始めることが一般的です。これらの種目は多くのエネルギーを消費し、フォームの習得も重要です。そのため、集中力と体力があるトレーニングの序盤に行うのが理想的です。

3. 特定の部位を重点的に鍛える

次に、自分が特に鍛えたい部位のエクササイズに移ります。例えば、胸の筋肉を大きくしたい場合は、ベンチプレスやダンベルプレスを行いましょう。この段階ではまだ疲労が少ないため、より重い負荷でトレーニングを行うことができます。

4. 拮抗筋を交互にトレーニング

拮抗する筋肉を交互に鍛えることで、効率的にトレーニングを進めます。例えば、胸のエクササイズを行った後は、背中を鍛えるエクササイズを行うようにしましょう。これにより、休息を最小限にしながら全身をバランスよく鍛えることができます。

5. 最後に小さい筋肉を使うエクササイズ

最後に、小さな筋肉群をターゲットにしたエクササイズを行います。腕や肩の筋肉など、小さい筋肉はエネルギー消費が少なく、トレーニングの後半でも効果的に鍛えることができます。

【初心者記事まとめ】

トレーニングの種目をどの順番で行うかは、効果を左右する重要な要素です。最初に難易度の高いエクササイズや鍛えたい部位を行い、拮抗筋を交互に取り入れることで、バランスの良いトレーニングができます。

さらに、自分に合ったプログラムを考え、長期的に続けることが、より効果的なトレーニングの秘訣です。

【専門記事】初心者のトレーニング種目の順番

【今回の参考文献①】
Muscular Strength Gains and Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-analysis、筋力向上と筋肥大(筋肉の成長)に関する科学的知見を系統的に評価した論文です。この論文の主な目的は、異なるトレーニングプログラムが筋力と筋肥大にどのように影響を与えるかを調査することで、効果的なトレーニング方法を見つけ出すことです。

参考文献①

背景

筋力と筋肥大は、トレーニングの主な目的として多くの人々に重視されています。筋力は日常生活やスポーツにおけるパフォーマンスを向上させ、筋肥大は体型の改善や健康増進に貢献します。これら二つの要素は密接に関連しているものの、それぞれ異なる生理的メカニズムによって影響を受けます。そのため、トレーニング方法によって、筋力の向上や筋肥大の効果が異なる可能性があります。

この系統的レビューとメタアナリシスでは、様々な研究を総合して分析し、筋力向上と筋肥大における共通点と相違点を明らかにしようとしています。

研究の方法

このメタアナリシスでは、ランダム化比較試験(RCT)を中心に選定された複数の研究が対象となりました。対象研究の主な条件として、異なるトレーニングプログラムを比較し、筋力や筋肉のサイズの変化を測定していることが含まれます。これにより、具体的なトレーニングプログラムの効果を評価できるようになっています。

調査の主な焦点は、以下の2つです

  1. 筋力向上: 筋力がどの程度向上したかを定量的に測定。
  2. 筋肥大: 筋肉の断面積やサイズの増加がどの程度かを調査。

結果

筋力向上

論文の結果によると、筋力は、

  • トレーニングの強度と頻度が大きく影響
  • 最大挙上重量の70~85%程度の負荷を使用したトレーニングが最も筋力向上
  • セット数や休息時間も重要な要素とされた

さらに、低負荷高回数のトレーニングでも筋力向上は見られたものの、重い負荷を使用したトレーニングほどの効果は得られませんでした。これにより、筋力向上を目指す場合は、高負荷低回数のトレーニングが推奨されます。

筋力向上を目指すなら、高負荷低回数(最大挙上重量の70~85%程度の負荷)

筋肥大

一方で、筋肥大に関しては、

  • トレーニングの強度だけでなく、ボリューム(総セット数や回数)が重要
  • 特に、総トレーニングボリュームが高いほど、筋肥大の効果が大きくなる
  • 筋力向上とは異なり、トレーニングの負荷が軽くても高回数で行うトレーニングが有効

低負荷高回数の場合は、あまりに軽い重量だと、精神的疲労度が高くなることから適度な重量設定を!

筋力と筋肥大の相関

この論文で注目すべき点は、筋力向上と筋肥大の相関です。筋肥大が進むことで筋力が向上するかどうかという問いに対して、結果は一様ではありませんでした。

一部の研究では、筋肥大が筋力向上に貢献することが示されていますが、必ずしも全てのケースで筋肥大が筋力向上を促進するわけではないことが分かりました。

これは、筋肥大が必ずしも筋力向上の唯一の要因ではないためです。筋力には神経系の適応やテクニックの習得も大きく影響を与えるため、筋肥大だけでは筋力向上に限界があると考えられます。

筋力には『神経系』・『スキル(適応テクニック)の修得』も筋力向上の要素となる

考察

この研究の結果を踏まえると、筋力向上と筋肥大にはそれぞれ異なるアプローチが必要であることが示唆されます。

筋力向上を目指す場合には、高負荷のトレーニングが効果的であり、筋肥大を目指す場合には、トレーニングのボリュームを増やすことが重要です。

また、トレーニングの目的に応じて、プログラムを組み合わせることが推奨されます。

例えば、筋力向上と筋肥大の両方を目指す場合は、重い負荷を使用した低回数のトレーニングと、軽い負荷で高回数のトレーニングを組み合わせることが効果的です。

限界と将来の研究

このメタアナリシスでは、選定された研究のサンプルサイズやトレーニング期間、被験者の特性(年齢や性別など)によって、結果が異なる可能性があることが指摘されています。

さらに、トレーニング経験の差や栄養の影響など、他の要因が筋力や筋肥大に与える影響についてもさらなる研究が必要です。

また、長期間にわたるトレーニングの効果や、異なるトレーニング手法(例えば、ピリオダイゼーションや高強度インターバルトレーニング)の効果についても、今後の研究が期待されます。

結論

この論文は、筋力向上と筋肥大に関するトレーニングプログラムの効果を包括的に評価し、それぞれの目的に応じたトレーニングアプローチの重要性を明確に示しています。

  • 筋力向上には高負荷低回数のトレーニングが効果的
  • 筋肥大には総トレーニングボリュームが重要であること
  • 筋肥大と筋力向上は必ずしも直結しないため、両者のバランスを取ることが求められる

これにより、トレーニングを行う際には、自分の目的に応じて適切なプログラムを設計することが推奨されます。

初心者でも筋力をつけた方がケガのリスクは軽減する

【今回の参考文献②】
Relationship between hamstring strains and leg muscle strength. A follow-up study of collegiate track and field athletes ハムストリングスの肉離れと脚の筋力との関連を調査した研究です。この研究では、大学レベルの陸上競技選手を対象に、特にハムストリングスの怪我と脚の筋力との関係に焦点を当てています。

※一般人であっても、筋力の差は大きく関係する。
特に後面の筋群は、運動不足(筋力低下)を招きやすいため、重要なポイントなのでお話します。

参考文献②

背景

陸上競技において、ハムストリングスの肉離れは非常に一般的な怪我です。ハムストリングスは大腿後部に位置する筋肉群で、主に膝の屈曲や股関節の伸展に関与しています。スプリントやジャンプなどの動作が多い陸上競技では、この筋肉群が頻繁に使用され、特に負荷がかかるため、怪我のリスクが高まります。

これまでの研究では、筋力のアンバランスや柔軟性の欠如が、ハムストリングスの肉離れの主な原因とされています。特に、ハムストリングスと対になる筋肉である大腿四頭筋との筋力バランスが、怪我の予防に重要であると指摘されています。

拮抗筋の役割が、重要である可能性が高い

研究目的

この研究の主な目的は、ハムストリングスの肉離れが発生する選手と発生しない選手の間で、脚の筋力に違いがあるかどうかを確認することです。特に、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比率に注目し、これが怪我の発生にどのように影響を与えるかを調査しました。

研究方法

対象者は、

  • 大学レベルの陸上競技選手
  • 研究開始時点でハムストリングスの肉離れを経験していない選手
  • 選手たちを一定期間追跡し、その間にハムストリングスの肉離れが発生したかどうかを記録

筋力測定には、等速性ダイナモメーターが使用され、選手のハムストリングスと大腿四頭筋の筋力が詳細に評価されました。特に、筋力のピークトルク(最大出力)と、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比(H/Q比)が分析されました。

結果

1. ハムストリングスの筋力低下

研究結果から、

  • ハムストリングスの筋力が低い選手ほど、肉離れを起こすリスクが高い
  • 具体的には、ハムストリングスの筋力が大腿四頭筋に比べて弱い場合、その筋力差が怪我の主要な要因

2. 筋力比(H/Q比)

ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比(H/Q比)は、怪我のリスク評価において非常に重要な指標です。通常、H/Q比は0.6~0.7が理想的とされています。この比率が低い場合、ハムストリングスが大腿四頭筋の力に対抗できず、動作中に過剰な負荷がかかり、肉離れが発生しやすくなります。

研究では、ハムストリングスの肉離れを経験した選手の多くは、H/Q比が0.6未満であり、筋力バランスが大きく崩れていることが明らかになりました。

ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比(H/Q比)では、『H/Q比が0.6未満』で肉離れを経験

※あくまでも数値化した場合の中央値。絶対値でない。

3. 再発リスク

  • ハムストリングスの肉離れを一度経験すると、その後の再発リスクが高くなる
  • 再発リスクは、初回の怪我後に適切なリハビリや筋力強化が行われなかった場合に特に高まる

考察

筋力バランスの重要性

この研究の結果から、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力バランスが怪我の予防に非常に重要であることが再確認されました。筋力バランスの崩れは、特に動作中の不安定さを引き起こし、過度なストレスが特定の筋肉にかかることが原因であると考えられます。

筋力トレーニングの推奨

研究者たちは、ハムストリングスの肉離れの予防には、大腿四頭筋とハムストリングスの筋力バランスを改善するトレーニングが有効であるとしています。特に、等速性トレーニングやエキセントリック(伸張性)トレーニングが効果的であり、これにより筋力バランスの改善と怪我の予防が期待できます。

筋肉が伸長されながら負荷をかける『エキセントリックトレーニング』が効果的

リハビリと復帰プロセス

また、ハムストリングスの肉離れを経験した選手は、リハビリ中にハムストリングスの筋力を十分に回復させることが重要です。再発を防ぐためには、怪我後の復帰プロセスでH/Q比を理想的なレベルまで回復させることが推奨されます。

結論

この研究は、ハムストリングスの肉離れと脚の筋力、特にハムストリングスと大腿四頭筋の筋力バランスとの関連性を明確に示しました。陸上競技においてハムストリングスの怪我を予防するためには、H/Q比を意識した筋力トレーニングが不可欠であることが分かりました。

具体的には、以下の点が強調されています

  1. ハムストリングスの筋力強化
    特に大腿四頭筋に対するハムストリングスの筋力を強化することが、怪我の予防に効果的です。
  2. 筋力バランスの維持
    H/Q比を適切な範囲に保つことで、ハムストリングスへの過度な負荷を防ぎます。
  3. エキセントリックトレーニングの導入
    筋肉が伸びながら力を発揮するエキセントリックトレーニングが、筋力バランスを改善し、怪我のリスクを減らします。

この研究は、ハムストリングスの怪我を予防し、選手の競技パフォーマンスを向上させるための基礎データを提供しており、今後のトレーニングプログラムに活かされることが期待されます。

総まとめ

初心者であっても、専門的分野であっても根本的な部分は、変わらないです。

トレーニングを行う目的と、そのための方法を理解することで、自分が目指す理想のカラダに近づくことが出来ます。

それではまた!

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今回は「どのエクササイズから始めるべきか?トレーニング種目の順番」について、初心者にもわかりやすく説明していきます。

トレーニングを効果的に進めるためには、種目の順番が非常に重要です。正しい順序でトレーニングを行うことで、怪我のリスクを減らし、効果を最大限に引き出すことができます。

前半は、運動初心者でも分かる内容となっています。後半は専門的な内容をまとめています。気になる人は最後までご購読ください。

トレーニング種目の順番は効果に
影響を及ぼす

まず、トレーニング種目の順番がどのようにトレーニングの成果に影響を与えるのかについて話しましょう。

研究によれば、種目の順番によって、

筋力の向上には違いが見られる

最初に行われた種目ではより大きな筋力向上が確認されており、

一方で筋肥大に関しては、

種目の順番の影響が少ない

ことが報告されています。

筋力というのは、筋肉がどれだけの力を発揮できるかを示すもので、重い物を持ち上げる力やスポーツにおけるパフォーマンスに直結します。

対して筋肥大は、筋肉が大きく成長することを指しますが、この点に関しては種目の順番による差はあまり見られないということです。

【初心者】トレーニング種目の順番

基本的なルール

次に、トレーニング種目の順番を決める際に考慮すべきポイントを3つ紹介します。

1. フォーム修得が難しい&危険度の高い種目からスタートするのをオススメ

フォームが難しい種目や、重量を扱うリスクが高い種目は、疲労が少ないトレーニングの最初に行うのが理想的です。

例えば、

  • スクワット
  • デッドリフト

といった全身を使う種目は、正しいフォームで行わなければ怪我のリスクが高まります。

これらのエクササイズを最初に行うことで、集中力が高く、体力が十分な状態で取り組むことができ、正しいフォームを維持しやすくなります。

また、これらの種目は複数の筋肉を同時に使うため、全身の筋肉を効率的に活用できます。最初に大きなエネルギーを消費するエクササイズを行うことで、トレーニングの効果を最大化できます。

最初に大きなエネルギーを
消費するトレーニングで効果を最大化する

2. 伸ばしたい種目を最初の方に持ってくる

次に、自分が特に鍛えたい部位や伸ばしたい種目は、トレーニングの最初に行うべきです。

疲労が少ない状態で行うことで、その部位に十分な負荷をかけることができ、トレーニングの効果が高まります。

たとえば、胸の筋肉を重点的に鍛えたい場合は、ベンチプレスなどの胸部に効くエクササイズをトレーニングの序盤に持ってくることが効果的です。

逆に、後半に持ってくると疲労が蓄積され、十分な負荷をかけることが難しくなります。

鍛えたい部位も最初の方に取り入れる!疲労の蓄積を考慮した順番を選定しよう!

3. 拮抗する筋肉を交互に取り入れる

「拮抗筋」とは、互いに反対の動きをする筋肉のことを指します。

例えば、胸を鍛えるベンチプレスと、背中を鍛えるローイングが拮抗する関係です。

拮抗筋を交互にトレーニングすることで、筋肉のバランスが良くなり、筋肉同士が協力して働くようになります。

これにより、怪我のリスクも減少し、体全体のバランスを保ちながら効果的に鍛えることができます。

例えば、胸のエクササイズを行った後に背中のエクササイズを行うと、休息の時間が少なくてもお互いの筋肉が疲れにくくなり、効率的なトレーニングが可能です。

表があれば裏もあるように、拮抗する筋肉同士をバランスよく鍛えよう!

実際のトレーニングの流れ

これまで紹介したポイントを基に、トレーニングの具体的な流れを考えてみましょう。

1. ウォーミングアップ

まず、トレーニングを始める前にはウォーミングアップが必要です。ウォーミングアップには、軽い有酸素運動やストレッチが含まれ、筋肉を温め、関節を動かしやすくすることが目的です。

これにより、怪我のリスクが減り、エクササイズのパフォーマンスが向上します。

2. 大きな筋肉を使うエクササイズから

トレーニングの最初は、先述したように、スクワットやデッドリフトのような全身を使うエクササイズから始めることが一般的です。

これらの種目は多くのエネルギーを消費し、フォームの習得も重要です。そのため、集中力と体力があるトレーニングの序盤に行うのが理想的です。

3. 特定の部位を重点的に鍛える

次に、自分が特に鍛えたい部位のエクササイズに移ります。例えば、胸の筋肉を大きくしたい場合は、ベンチプレスやダンベルプレスを行いましょう。この段階ではまだ疲労が少ないため、より重い負荷でトレーニングを行うことができます。

4. 拮抗筋を交互にトレーニング

拮抗する筋肉を交互に鍛えることで、効率的にトレーニングを進めます。例えば、胸のエクササイズを行った後は、背中を鍛えるエクササイズを行うようにしましょう。これにより、休息を最小限にしながら全身をバランスよく鍛えることができます。

5. 最後に小さい筋肉を使うエクササイズ

最後に、小さな筋肉群をターゲットにしたエクササイズを行います。腕や肩の筋肉など、小さい筋肉はエネルギー消費が少なく、トレーニングの後半でも効果的に鍛えることができます。

【初心者記事まとめ】

トレーニングの種目をどの順番で行うかは、効果を左右する重要な要素です。最初に難易度の高いエクササイズや鍛えたい部位を行い、拮抗筋を交互に取り入れることで、バランスの良いトレーニングができます。

さらに、自分に合ったプログラムを考え、長期的に続けることが、より効果的なトレーニングの秘訣です。

【専門記事】
初心者のトレーニング種目の順番

【今回の参考文献①】
Muscular Strength Gains and Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-analysis、筋力向上と筋肥大(筋肉の成長)に関する科学的知見を系統的に評価した論文です。この論文の主な目的は、異なるトレーニングプログラムが筋力と筋肥大にどのように影響を与えるかを調査することで、効果的なトレーニング方法を見つけ出すことです。

参考文献①

背景

筋力と筋肥大は、トレーニングの主な目的として多くの人々に重視されています。筋力は日常生活やスポーツにおけるパフォーマンスを向上させ、筋肥大は体型の改善や健康増進に貢献します。

これら二つの要素は密接に関連しているものの、それぞれ異なる生理的メカニズムによって影響を受けます。そのため、トレーニング方法によって、筋力の向上や筋肥大の効果が異なる可能性があります。

この系統的レビューとメタアナリシスでは、様々な研究を総合して分析し、筋力向上と筋肥大における共通点と相違点を明らかにしようとしています。

研究の方法

このメタアナリシスでは、ランダム化比較試験(RCT)を中心に選定された複数の研究が対象となりました。対象研究の主な条件として、異なるトレーニングプログラムを比較し、筋力や筋肉のサイズの変化を測定していることが含まれます。これにより、具体的なトレーニングプログラムの効果を評価できるようになっています。

調査の主な焦点は、以下の2つです

  1. 筋力向上:
    筋力がどの程度向上したかを定量的に測定。
  2. 筋肥大:
    筋肉の断面積やサイズの増加がどの程度かを調査。

結果

筋力向上

論文の結果によると、筋力は、

  • トレーニングの強度と頻度が大きく影響
  • 最大挙上重量の70~85%程度の負荷を使用したトレーニングが最も筋力向上
  • セット数や休息時間も重要な要素とされた

さらに、低負荷高回数のトレーニングでも筋力向上は見られたものの、重い負荷を使用したトレーニングほどの効果は得られませんでした。

これにより、筋力向上を目指す場合は、高負荷低回数のトレーニングが推奨されます。

筋力向上を目指すなら、高負荷低回数
(最大挙上重量の70~85%程度の負荷)

筋肥大

一方で、筋肥大に関しては、

  • トレーニングの強度だけでなく、ボリューム(総セット数や回数)が重要
  • 特に、総トレーニングボリュームが高いほど、筋肥大の効果が大きくなる
  • 筋力向上とは異なり、トレーニングの負荷が軽くても高回数で行うトレーニングが有効

低負荷高回数の場合は、あまりに軽い重量だと、精神的疲労度が高くなることから適度な重量設定を!

筋力と筋肥大の相関

この論文で注目すべき点は、筋力向上と筋肥大の相関です。筋肥大が進むことで筋力が向上するかどうかという問いに対して、結果は一様ではありませんでした。

一部の研究では、筋肥大が筋力向上に貢献することが示されていますが、必ずしも全てのケースで筋肥大が筋力向上を促進するわけではないことが分かりました。

これは、筋肥大が必ずしも筋力向上の唯一の要因ではないためです。筋力には神経系の適応やテクニックの習得も大きく影響を与えるため、筋肥大だけでは筋力向上に限界があると考えられます。

筋力には『神経系』・『スキル(適応テクニック)の修得』も筋力向上の要素となる

考察

この研究の結果を踏まえると、筋力向上と筋肥大にはそれぞれ異なるアプローチが必要であることが示唆されます。

筋力向上を目指す場合には、高負荷のトレーニングが効果的であり、筋肥大を目指す場合には、トレーニングのボリュームを増やすことが重要です。

また、トレーニングの目的に応じて、プログラムを組み合わせることが推奨されます。

例えば、筋力向上と筋肥大の両方を目指す場合は、重い負荷を使用した低回数のトレーニングと、軽い負荷で高回数のトレーニングを組み合わせることが効果的です。

限界と将来の研究

このメタアナリシスでは、選定された研究のサンプルサイズやトレーニング期間、被験者の特性(年齢や性別など)によって、結果が異なる可能性があることが指摘されています。

さらに、トレーニング経験の差や栄養の影響など、他の要因が筋力や筋肥大に与える影響についてもさらなる研究が必要です。

また、長期間にわたるトレーニングの効果や、異なるトレーニング手法(例えば、ピリオダイゼーションや高強度インターバルトレーニング)の効果についても、今後の研究が期待されます。

結論

この論文は、筋力向上と筋肥大に関するトレーニングプログラムの効果を包括的に評価し、それぞれの目的に応じたトレーニングアプローチの重要性を明確に示しています。

  • 筋力向上には高負荷低回数のトレーニングが効果的
  • 筋肥大には総トレーニングボリュームが重要であること
  • 筋肥大と筋力向上は必ずしも直結しないため、両者のバランスを取ることが求められる

これにより、トレーニングを行う際には、自分の目的に応じて適切なプログラムを設計することが推奨されます。

初心者でも筋力をつけた方がケガのリスクは軽減する

【今回の参考文献②】
Relationship between hamstring strains and leg muscle strength. A follow-up study of collegiate track and field athletes ハムストリングスの肉離れと脚の筋力との関連を調査した研究です。この研究では、大学レベルの陸上競技選手を対象に、特にハムストリングスの怪我と脚の筋力との関係に焦点を当てています。

※一般人であっても、筋力の差は大きく関係する。
特に後面の筋群は、運動不足(筋力低下)を招きやすいため、
重要なポイントなのでお話します。

参考文献②

背景

陸上競技において、ハムストリングスの肉離れは非常に一般的な怪我です。ハムストリングスは大腿後部に位置する筋肉群で、主に膝の屈曲や股関節の伸展に関与しています。

スプリントやジャンプなどの動作が多い陸上競技では、この筋肉群が頻繁に使用され、特に負荷がかかるため、怪我のリスクが高まります。

これまでの研究では、筋力のアンバランスや柔軟性の欠如が、ハムストリングスの肉離れの主な原因とされています。

特に、ハムストリングスと対になる筋肉である大腿四頭筋との筋力バランスが、怪我の予防に重要であると指摘されています。

拮抗筋の役割が、重要である可能性が高い

研究目的

この研究の主な目的は、ハムストリングスの肉離れが発生する選手と発生しない選手の間で、脚の筋力に違いがあるかどうかを確認することです。特に、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比率に注目し、これが怪我の発生にどのように影響を与えるかを調査しました。

研究方法

対象者は、

  • 大学レベルの陸上競技選手
  • 研究開始時点でハムストリングスの肉離れを経験していない選手
  • 選手たちを一定期間追跡し、その間にハムストリングスの肉離れが発生したかどうかを記録

筋力測定には、等速性ダイナモメーターが使用され、選手のハムストリングスと大腿四頭筋の筋力が詳細に評価されました。

特に、筋力のピークトルク(最大出力)と、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比(H/Q比)が分析されました。

結果

1. ハムストリングスの筋力低下

研究結果から、

  • ハムストリングスの筋力が低い選手ほど、
    肉離れを起こすリスクが高い
  • 具体的には、ハムストリングスの筋力が大腿四頭筋に比べて弱い場合、その筋力差が怪我の主要な要因

2. 筋力比(H/Q比)

ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比(H/Q比)は、怪我のリスク評価において非常に重要な指標です。通常、H/Q比は0.6~0.7が理想的とされています。

この比率が低い場合、ハムストリングスが大腿四頭筋の力に対抗できず、動作中に過剰な負荷がかかり、肉離れが発生しやすくなります。

研究では、ハムストリングスの肉離れを経験した選手の多くは、H/Q比が0.6未満であり、筋力バランスが大きく崩れていることが明らかになりました。

ハムと大腿四頭筋の筋力比(H/Q比)では、『H/Q比が0.6未満』で肉離れを経験

※あくまでも数値化した場合の中央値。絶対値でない。

3. 再発リスク

  • ハムストリングスの肉離れを一度経験すると、
    その後の再発リスクが高くなる
  • 再発リスクは、初回の怪我後に適切なリハビリや
    筋力強化が行われなかった場合に特に高まる

考察

筋力バランスの重要性

この研究の結果から、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力バランスが怪我の予防に非常に重要であることが再確認されました。

筋力バランスの崩れは、特に動作中の不安定さを引き起こし、過度なストレスが特定の筋肉にかかることが原因であると考えられます。

筋力トレーニングの推奨

研究者たちは、ハムストリングスの肉離れの予防には、大腿四頭筋とハムストリングスの筋力バランスを改善するトレーニングが有効であるとしています。

特に、等速性トレーニングやエキセントリック(伸張性)トレーニングが効果的であり、これにより筋力バランスの改善と怪我の予防が期待できます。

筋肉が伸長されながら負荷をかける
『エキセントリックトレーニング』が効果的

リハビリと復帰プロセス

また、ハムストリングスの肉離れを経験した選手は、リハビリ中にハムストリングスの筋力を十分に回復させることが重要です。再発を防ぐためには、怪我後の復帰プロセスでH/Q比を理想的なレベルまで回復させることが推奨されます。

結論

この研究は、ハムストリングスの肉離れと脚の筋力、特にハムストリングスと大腿四頭筋の筋力バランスとの関連性を明確に示しました。陸上競技においてハムストリングスの怪我を予防するためには、H/Q比を意識した筋力トレーニングが不可欠であることが分かりました。

具体的には、以下の点が強調されています

  1. ハムストリングスの筋力強化
    特に大腿四頭筋に対するハムストリングスの筋力を強化することが、怪我の予防に効果的です。
  2. 筋力バランスの維持
    H/Q比を適切な範囲に保つことで、ハムストリングスへの過度な負荷を防ぎます。
  3. エキセントリックトレーニングの導入
    筋肉が伸びながら力を発揮するエキセントリックトレーニングが、筋力バランスを改善し、怪我のリスクを減らします。

この研究は、ハムストリングスの怪我を予防し、選手の競技パフォーマンスを向上させるための基礎データを提供しており、今後のトレーニングプログラムに活かされることが期待されます。

総まとめ

初心者であっても、専門的分野であっても根本的な部分は、変わらないです。

トレーニングを行う目的と、そのための方法を理解することで、自分が目指す理想のカラダに近づくことが出来ます。

それではまた!

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