筋トレのモーメントアームが適切なフォームの指標になる理由|大腿骨の長さを例に解説

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今回の記事は、
・トレーナー
・トレーニー
向けの内容となっています。

スクワットで体幹が前傾し過ぎてしまう…
デッドリフトのセットポジションが定まらない…
ハイバースクワットが上手くできない…

こんなお悩みありませんか?

フォームのエラーを指摘されるも、修正したフォームがしっくりこない。
でもトレーナーに言われたフォームだからこれで継続していくしかない。

そんな考えになっていませんか?
少しでも疑問に思った人は、本記事を読む価値は十分あると思います。

論文などで、効果について多く話すことがある私ですが、種目の選定やプログラムに一貫性をもたせたとしても、個々のフォームについてまでは、事細かくは記載されていません。

論文は絶対的指標ではなく、研究課題における効果的な確率を高めた信用媒体である

もちろん、論文(エビデンス)における信用度が高いのは事実なので、それを踏まえた上で個々にベストだと思う指導をしています。


今回の投稿を最後まで見ることで、

・大腿骨の相対的な長さの違いがフォームに与える影響について
・大腿骨の長さが原因でとれないフォームをどう修正するか
・他にどんなことが要因でフォームが変化するのか

今まで、疑問だった点が改善できるようになります。

骨格や構造の問題は、対策できることが限られています。(形を変化させることが困難であるため)
なので知らないと実はそれを無理に修正しようとして、改善どころか、悪化させたり無駄な時間を費やしてしまいます。

これまで抱えていた、

  • 「なんかフォームが独特だな?」
  • 「なぜこんなにやりづらさを感じてるんだろうと?」

疑問を持つことで骨格や構造を把握し、最高の成果に繋げていきましょう。

目次

1.骨格構造から導く→フォームが変化→どんな影響?

なんとなくは、骨の長さが変化すればそれがフォームに影響を与えるというのは想像できるかと思います。

しかし、フォームが変化したことで、それが何に影響するかまでは考えることができるでしょうか?

ここからは、具体的に
・大腿骨の長さの違いによるフォームへの影響
・それがどんな影響を与えるのか?
までを解説していきたいと思います。

2.大腿骨の長さはチェックできてるか?

大腿骨の長さが違うと言っても、2つのパターンが考えられます。

  • 同じ身長で大腿骨の長さが違うパターン(比率が違う)
  • 身長が違って大腿骨の長さが違うパターン(比率が同じ)

今回の大腿骨の長さというのは、前者の比率が違うことを指します。

今回登場するモデルはすべて身長を揃えた形で、2タイプ

  1. 胴長短足(大腿骨が短い)
  2. 胴短長足(大腿骨が長い)

で比較していきます。

3.大腿骨の長さとスクワットのフォーム

スクワットのフォームを比較するに当たっては、条件は揃えておきたいと思います
(条件揃えると言っても簡易的な条件設定です)。

(図解は矢状面上から)
・担ぎはハイバー
・大腿骨が平行になる位置までしゃがむ
・重心線は足の中心にある

では実際にしゃがんだ時のフォームを見てみましょう。

A・Bのフォームはどうでしょうか?
思っていたよりもフォームが異なるのがわかります。

大腿骨が長いBさんはAさんと比較して、

  • 股関節の屈曲可動域が大きい
  • 体幹前傾角度が大きい

2点が大きな違いになります。

ではもう少し解像度を高めてフォームへの影響を考えていきます。

大腿骨が長い(Bさん)場合のスクワットフォームが与える身体への影響は主に2つです。

  • バーベルの移動距離が長くなる(しゃがむ距離)
  • 股関節のモーメントアームが長くなる(後ほど解説)

故に同じ身長であっても大腿骨が長い場合には、
股関節屈曲が大きく、体幹前傾が大きい分仕事量が増え、股関節に求められる負担が大きくなる。

ちなみにこの影響をケガ予防改善の観点から見て、

大腿骨が長い人は股関節屈曲可動域が大きい必要がある

そのため、股関節の可動性が低い場合どのような影響があるか?を考えます。

先ほどから「モーメントアーム」という言葉が出てきていますがこのモーメントアームというのは、
関節にどれくらい力が加わるのか?の目安になるので図解と動画を含めて説明していきます。

4.モーメントアームとは?

モーメントアームとは、言葉にすると…

→回転軸(図ではバーベルと床との接点)と力の作用線を結んだ垂線です

身近なところで言うと、買い物袋を体から離して持つと重く感じますが、肘を曲げて体に近づけて持つとそれほど重く感じません。これはモーメントアームの長さが影響しているからです。

大腿骨が長くて股関節がより後方に位置すると言うことは、同じ重量を持っていたとしても大腿骨が短い人と比べると股関節で支えている体感というのは全然違います。

扱う物体の質量が同じでも、モーメントアームの長さによって体感は異なる

なので、図解の一番右の人と真ん中の人では支える力というのは異なってきます。

これは股関節に限ったことではありません、そのすぐそばにある腰椎も同様のことが言えます。

もし腰が張りやすいとか、慢性的に腰に不安を抱えている方の場合、
「もしかすると大腿骨長い影響をあるのでは?」と身体にかかる力を俯瞰的に見れると問題解決できるケースがよくあります。

そして、モーメントアームについては、下記の動画で人型モデルを使ってわかりやすく解説してくれています。

5.大腿骨が長い人のスクワットフォームを変えるには?

では実際にもし腰の不調の原因が、大腿骨の長さの関与だとしたらその負荷をどうやって軽減していくのか?
これからそれを考えていきます。

問題の要因が大腿骨の長さである場合には、この大腿骨の長さそのものを変えることは出来ません。

ではどうするか?

結論①スクワットシューズを活用する(補高)

踵を上げることで、下腿が前傾し、膝関節と股関節が前方へシフトします、股関節が前方へシフトしたことで必要な股関節屈曲角度が減少し結果体幹が前傾角度が緩和されます。

こうなると、大腿骨が短い人比べても遜色ない体幹の立ち具合が再現できます。

踵を上げる為にスクワットシューズを履くというのは、あくまで身体の前方移動要素を補う一手段であるので、
・股関節の可動域に不足がないか?
・しっかり足関節の背屈が出来ているか?

などもみておく必要があるでしょう!

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結論②スタンス幅を変える(矢状面上のモーメントアームの長さを短縮)

一般的にスクワット動作で行うスタンス幅は、
「肩幅よりやや広め」なんて言われ方をします。

これは、おおよその人はこの範囲内に含まれるといった平均的な意味合いでもあります。
ということは、例外もあると言うことです。

特に手足が長い人(ここでは大腿骨が人よりも長いに限定)にとっては、窮屈なフォームになってしまい、同時にケガのリスクが高まることになります。

ここで試してほしいことは「ワイドスクワット」です。
平均値スクワット幅に収まる人からすれば、大腿骨が長い人のスクワットはワイドスクワットに見えますが、当事者にとっては、それがベストであることが多いです。

全ての人を平均内に収めてはいけない。個々の骨格・構造・柔軟性を加味して判断する


ワイドスクワットと通常のスクワットの効果については、こちらで詳しく解説しています。

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スタンスについて話した流れで、デッドリフトにも共通する部分があるので、これから説明していこうと思います。

6.大腿骨の長さとデッドリフトのフォーム

最後に大腿骨の長さがデッドリフトのフォームに与える影響を考えていきます。

デッドリフトで規定する条件は以下の2つ

  1. バーベルの位置
  2. 下腿前傾角度

どうなったでしょうか?

こう見ると大腿骨が長い人は短い人と比較して股関節の位置が高く、体幹がより前傾していることがわかります。

ではこのフォームがデッドリフトの運動にどんな影響を与えているかを考える前に、少しデッドリフトの運動を解体して理解していきます。

デッドリフトの運動を各体節の空間的な動きで見た場合に…

・体幹の後傾(股関節伸展)
・大腿骨の前傾(膝関節伸展)

の2つの動きの組み合わせになります(下腿の動きは除いています)

  • 体幹の後傾量が大きい→股関節伸展の関与が大きい
  • 大腿骨の前傾量が大きい→膝関節進展の関与が大きい

と捉えることが出来ます、では実際にフォームに照らし合わせると…

大腿骨が長い人は短い人と比べて、

体幹の後傾量 長い人>短い人
大腿の前傾量 長い人<短い人

で、大腿骨が長くなると同じだけバーベルを引き上げる為に必要な、股関節や膝関節の関与が変わる可能性があります。

同じ身長で大腿骨の相対的な長さが変わるという条件では、デッドリフトの場合は股関節位置が上方へ偏位する為にスクワットのようにモーメントアームが大きく変わるということはなさそうですが、各関節の必要な可動量が変化し、大腿骨が長いと、体感的に股関節主導で後方へプル(引く)する感覚が強くなる可能性があります。

デッドリフトの力学に関してはもちろん運動学だけではなく力学的な観点、どう床反力をもらっているかなど開始のフォームや引く方向の意識によってもかなりバリエーションがあるため、個々の感覚も一つの重量を扱う引き出しにはなりそうです。

7.まとめ

スクワットとデッドリフトにおいて、『大腿骨の長さがフォームに与える影響について』、どのように感じられたでしょうか?

この2つの動作では、それぞれの競技特性の違いによって影響の現れ方が異なる点が興味深いと言えます。
例えば、大腿骨が長い方と短い方が同じスクワットを行ったとしても、関節にかかる負荷は異なり、それによって身体の適応が変わる可能性があります。

具体的には、大腿骨が長い方は股関節伸展筋が発達しやすく、逆に短い方は膝関節伸展筋が強化されやすいと考えられます。この骨格やセグメントの長さは、運動パフォーマンスに大きな影響を及ぼす重要な要因といえるでしょう。

ただし、その人が実際に大腿骨が長いのか、あるいは下腿が長いのかといった具体的な評価は難しく、多くの場合、姿勢観察からの推測に頼ることになるかもしれません。それでも、「明らかに脚が長いな」と感じた場合は、フォームを少し修正し、その変化がどのように影響を及ぼすかを確認する価値があると思います。

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デッドリフトのセットポジションが定まらない…
ハイバースクワットが上手くできない…

こんなお悩みありませんか?

フォームのエラーを指摘されるも、修正したフォームがしっくりこない。
でもトレーナーに言われたフォームだからこれで継続していくしかない。

そんな考えになっていませんか?
少しでも疑問に思った人は、本記事を読む価値は十分あると思います。

論文などで、効果について多く話すことがある私ですが、種目の選定やプログラムに一貫性をもたせたとしても、個々のフォームについてまでは、事細かくは記載されていません。

論文は絶対的指標ではなく、研究課題における効果的な確率を高めた信用媒体である

もちろん、論文(エビデンス)における信用度が高いのは事実なので、それを踏まえた上で個々にベストだと思う指導をしています。


今回の投稿を最後まで見ることで、

・大腿骨の相対的な長さの違いがフォームに与える影響は?
・大腿骨の長さが原因でとれないフォームをどう修正するか
・他にどんなことが要因でフォームが変化するのか

今まで、疑問だった点が改善できるようになります。

骨格や構造の問題は、対策できることが限られています。(形を変化させることが困難であるため)

なので知らないと実はそれを無理に修正しようとして、改善どころか、悪化させたり無駄な時間を費やしてしまいます。

これまで抱えていた、

  • 「なんかフォームが独特だな?」
  • 「なぜこんなにやりづらさを感じてるんだろうと?」

疑問を持つことで骨格や構造を把握し、最高の成果に繋げていきましょう。

1.骨格構造から導く→フォームが変化→どんな影響?

なんとなくは、骨の長さが変化すればそれがフォームに影響を与えるというのは想像できるかと思います。

しかし、フォームが変化したことで、それが何に影響するかまでは考えることができるでしょうか?

ここからは、具体的に
・大腿骨の長さの違いによるフォームへの影響
・それがどんな影響を与えるのか?
までを解説していきたいと思います。

2.大腿骨の長さはチェックできてるか?

大腿骨の長さが違うと言っても、2つのパターンが考えられます。

  • 同じ身長で大腿骨の長さが違うパターン
    (比率が違う)
  • 身長が違って大腿骨の長さが違うパターン
    (比率が同じ)

今回の大腿骨の長さというのは、前者の比率が違うことを指します。

今回登場するモデルはすべて身長を揃えた形で、

  1. 胴長短足(大腿骨が短い)
  2. 胴短長足(大腿骨が長い)

で比較していきます。

3.大腿骨の長さとスクワットのフォーム

スクワットのフォームを比較するに当たっては、条件は揃えておきたいと思います
(条件揃えると言っても簡易的な条件設定です)。

(図解は矢状面上から)
・担ぎはハイバー
・大腿骨が平行になる位置までしゃがむ
・重心線は足の中心にある

では実際にしゃがんだ時のフォームを見てみましょう。

A・Bのフォームはどうでしょうか?
思っていたよりもフォームが異なるのがわかります。

大腿骨が長いBさんはAさんと比較して、

  • 股関節の屈曲可動域が大きい
  • 体幹前傾角度が大きい

2点が大きな違いになります。

ではもう少し解像度を高めてフォームへの影響を考えていきます。

大腿骨が長い(Bさん)場合のスクワットフォームが与える身体への影響は主に2つです。

  • バーベルの移動距離が長くなる
    (しゃがむ距離)
  • 股関節のモーメントアームが長くなる
    (後ほど解説)

故に同じ身長であっても大腿骨が長い場合には、
股関節屈曲が大きく、体幹前傾が大きい分仕事量が増え、股関節に求められる負担が大きくなる。

ちなみにこの影響をケガ予防改善の観点から見て、

大腿骨が長い人は股関節屈曲可動域が大きい必要がある

そのため、股関節の可動性が低い場合どのような影響があるか?を考えます。

先ほどから「モーメントアーム」という言葉が出てきていますがこのモーメントアームというのは、
関節にどれくらい力が加わるのか?の目安になるので図解と動画を含めて説明していきます。

4.モーメントアームとは?

モーメントアームとは、言葉にすると…

→回転軸(図ではバーベルと床との接点)と力の作用線を結んだ垂線です

身近なところで言うと、買い物袋を体から離して持つと重く感じますが、肘を曲げて体に近づけて持つとそれほど重く感じません。これはモーメントアームの長さが影響しているからです。

大腿骨が長くて股関節がより後方に位置すると言うことは、同じ重量を持っていたとしても大腿骨が短い人と比べると股関節で支えている体感というのは全然違います。

扱う物体の質量が同じでも、モーメントアームの長さによって体感は異なる

なので、図解の一番右の人と真ん中の人では支える力というのは異なってきます。

これは股関節に限ったことではありません、そのすぐそばにある腰椎も同様のことが言えます。

もし腰が張りやすいとか、慢性的に腰に不安を抱えている方の場合、

「もしかすると大腿骨長い影響があるのでは?」と身体にかかる力を俯瞰的に見れると問題解決できるケースがよくあります。

そして、モーメントアームについては、下記の動画で人型モデルを使ってわかりやすく解説してくれています。

5.大腿骨が長い人のスクワットフォームを変えるには?

では実際にもし腰の不調の原因が、大腿骨の長さの関与だとしたらその負荷をどうやって軽減していくのか?

これからそれを考えていきます。

問題の要因が大腿骨の長さである場合には、この大腿骨の長さそのものを変えることは出来ません。

ではどうするか?

結論①スクワットシューズを活用する
(補高)

踵を上げることで、下腿が前傾し、膝関節と股関節が前方へシフトします、股関節が前方へシフトしたことで必要な股関節屈曲角度が減少し結果体幹が前傾角度が緩和されます。

こうなると、大腿骨が短い人に比べても遜色ない体幹の立ち具合が再現できます。

踵を上げる為にスクワットシューズを履くというのは、あくまで身体の前方移動要素を補う一手段であるので、
・股関節の可動域に不足がないか?
・しっかり足関節の背屈が出来ているか?

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結論②スタンス幅を変える(矢状面上のモーメントアームの長さを短縮)

一般的にスクワット動作で行うスタンス幅は、
「肩幅よりやや広め」なんて言われ方をします。

これは、おおよその人はこの範囲内に含まれるといった平均的な意味合いでもあります。
ということは、例外もあると言うことです。

特に手足が長い人(ここでは大腿骨が人よりも長いに限定)にとっては、窮屈なフォームになってしまい、同時にケガのリスクが高まることになります。

ここで試してほしいことは「ワイドスクワット」です。
平均値なスクワット幅に収まる人からすれば、大腿骨が長い人のスクワットはワイドスクワットに見えますが、当事者にとっては、それがベストであることが多いです。

全ての人を平均内に収めてはいけない。個々の骨格・構造・柔軟性を加味して判断する


ワイドスクワットと通常のスクワットの効果については、こちらで詳しく解説しています。

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スタンスについて話した流れで、デッドリフトにも共通する部分があるので、これから説明していこうと思います。

6.大腿骨の長さとデッドリフトのフォーム

最後に大腿骨の長さがデッドリフトのフォームに与える影響を考えていきます。

デッドリフトで規定する条件は以下の2つ

  1. バーベルの位置
  2. 下腿前傾角度

どうなったでしょうか?

こう見ると大腿骨が長い人は短い人と比較して股関節の位置が高く、体幹がより前傾していることがわかります。

ではこのフォームがデッドリフトの運動にどんな影響を与えているかを考える前に、少しデッドリフトの運動を解体して理解していきます。

デッドリフトの運動を各体節の空間的な動きで見た場合に…

・体幹の後傾(股関節伸展)
・大腿骨の前傾(膝関節伸展)

の2つの動きの組み合わせになります(下腿の動きは除いています)

  • 体幹の後傾量が大きい→股関節伸展の関与が大きい
  • 大腿骨の前傾量が大きい→膝関節進展の関与が大きい

と捉えることが出来ます、では実際にフォームに照らし合わせると…

大腿骨が長い人は短い人と比べて、

体幹の後傾量 長い人>短い人
大腿の前傾量 長い人<短い人

で、大腿骨が長くなると同じだけバーベルを引き上げる為に必要な、股関節や膝関節の関与が変わる可能性があります。

同じ身長で大腿骨の相対的な長さが変わるという条件では、デッドリフトの場合は股関節位置が上方へ偏位する為にスクワットのようにモーメントアームが大きく変わるということはなさそうですが、各関節の必要な可動量が変化し、大腿骨が長いと、体感的に股関節主導で後方へプル(引く)する感覚が強くなる可能性があります。

デッドリフトの力学に関してはもちろん運動学だけではなく力学的な観点、どう床反力をもらっているかなど開始のフォームや引く方向の意識によってもかなりバリエーションがあるため、個々の感覚も一つの重量を扱う引き出しにはなりそうです。

7.まとめ

スクワットとデッドリフトにおいて、『大腿骨の長さがフォームに与える影響について』、どのように感じられたでしょうか?

この2つの動作では、それぞれの競技特性の違いによって影響の現れ方が異なる点が興味深いと言えます。
例えば、大腿骨が長い方と短い方が同じスクワットを行ったとしても、関節にかかる負荷は異なり、それによって身体の適応が変わる可能性があります。

具体的には、大腿骨が長い方は股関節伸展筋が発達しやすく、逆に短い方は膝関節伸展筋が強化されやすいと考えられます。この骨格やセグメントの長さは、運動パフォーマンスに大きな影響を及ぼす重要な要因といえるでしょう。

ただし、その人が実際に大腿骨が長いのか、あるいは下腿が長いのかといった具体的な評価は難しく、多くの場合、姿勢観察からの推測に頼ることになるかもしれません。

それでも、「明らかに脚が長いな」と感じた場合は、フォームを少し修正し、その変化がどのように影響を及ぼすかを確認する価値があると思います。

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