膝関節の前面が痛む|モーメントアーム力学的観点から見るスクワット改善方法
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「スクワットで膝を痛めたけど、なぜ痛くなるのか理解したい!」
そんなお悩みを解決します。
この記事を読んで分かること
・モーメントアームの基礎を学び3つのスクワットの違いを理解する
・膝関節前面部の痛みを力学的な視点から紐解く
バーベルを用いたウェイトトレーニングにおいて、スクワットはBIG3の中の1つであり脚の筋肉をはじめとして体幹筋も鍛える事ができる素晴らしい種目です。
しかし、方法を間違うと膝関節に大きなストレスをかけ、ケガの原因となってしまうことも少なくありません。
今回は代表的な3つのスクワットを例にモーメントアームの基礎を理解し、膝関節前面部の痛みを力学や運動学を用いて理解していこうと思います。
目に見えないモーメントアームを理解することは、他の種目でも非常に役立つ知識なのでぜひ最後までご覧下さい。
モーメントアームとは?
扉を例に説明していきます。
物体に回転運動を生じさせる力の効果を、
この回転軸から力のモーメントへの垂直距離を【モーメントアーム】と言います。
力のモーメントは、垂直だけではなくもちろん斜めにも作用します。斜めに作用した時がこのようなイメージです。
同じ場所から押しても、扉に対して垂直に押すのか、斜め方向に押すのかでモーメントアームが異なり扉を開けるときの重さ(体感)も変化します。
同じく扉を開ける時をイメージして下さい、同じ重さの扉でも、押す場所によって必要な力は異なります。
例えばBの位置で扉を開ける力が100必要だとします。
一方、Aはモーメントアームが半分なので、単純に倍の力200が必要となります。
それほどモーメントアームの長さは力に影響を与えるということです。
人体ではどのように考えるのか?
動作解析分野における関節モーメントの定義は非常に混乱しやすいが,関節モーメントは内部モーメントのことを示し,外力の影響によって回転させられる回転力(以下:外部モーメント)に対抗しようとする生体内部で働いている抵抗力である.すわなち筋や靱帯、骨や皮膚抵抗と考えてよいのである.このような筋・靱帯による内部モーメントのことを関節モーメントという。
例えばバーベルのハイバースクワットの膝関節を考察していきます。
バーベルスクワットでは基本的にバーベルの位置から垂直に下ろした線が重心線(厳密には体の重心とバーベルの重心を考慮)となり、それにより膝関節を屈曲する回転力が生じます、これを外部屈曲モーメントといいます。
そして膝関節が屈曲させられるのに拮抗するために大腿四頭筋が収縮し膝関節を伸展しようとします。
これを内部伸展モーメント(または関節モーメント)と言います。
なのでこの図から言えるのは、同じ重量であれば重心線(黒矢印)がよりお尻の方へ移動すればモーメントアームが長くなり膝関節へ外部屈曲モーメントが大きくなり、より膝関節を伸展するため力(内部伸展モーメント)が必要となります。
では実際にスクワットのバリエーションで見ていきます。
3つのスクワットバリエーションのモーメントアーム
赤点は関節です、股関節と膝関節となります。そして黒点線がバーベルの重心線となります。
- オレンジが膝関節の外部屈曲モーメントのモーメントアーム
- グリーンが股関節の外部屈曲モーメントのモーメントアーム
バーベルの軌道が足部の中心を通るという前提の場合は、このようになります。
膝関節のモーメントアーム(オレンジ色)は、
フロントスクワットやハイバースクワットは膝関節伸展筋による力が、ローバーに比べると必要な種目と言えます。
逆に股関節のモーメントアームは、
ローバーは股関節伸展筋の力がハイバーやフロントスクワットに比べると必要な種目と言えます。
(※これは矢上面上の話なので前額面や水平面の力は考慮していません。)
このように目には見えないモーメントアームを理解することで重りがどのように関節への外力として働き、それに対して筋が発揮する力が必要なのかが理解できます。
実はこのモーメントアームの理解が膝の痛みの原因を紐解く上では非常に重要な役割を果たします。
膝関節の痛みとモーメントアーム(矢上面の問題)
スクワットによる膝関節の痛みについては、
- 発生源(組織の損傷部位)
- 原因(なぜ痛くなったかの理由)
2つの対処が必要です。
例えばあなたがスクワットで膝を痛めて病院や接骨院にかかったとしてもほとんどの専門家は、
あなたの膝(発生源)にしか興味がありません。
痛みの改善は務めても、痛みの原因の改善には務めない(※トレーニングに精通する施術者であれば◯)
しかしスクワットをして膝に痛みが出たのであれば、スクワットが自分に合った正しい方法(フォーム以外の理由も含む)で出来ていなかった可能性を考えなくては、おそらくこの方の痛みの問題は根本的には解決されないままでしょう。
原因を大きく分けると以下の3つとなります。
- 動作のやり方の問題
- 筋力や可動域、機能的問題
- 個性の問題
まずは大事な動作のやり方についてのお話しを先にします!
原因とは、先ほども軽く言いましたが、発生源(組織)にストレスをかけた理由であり、動作上の問題です。
矢上面上の動作と関連しているのが膝関節の痛みの中でも特に「前面部の痛み」です。
膝関節の前面部には、
- 大腿四頭筋
- 膝蓋骨
- 膝蓋腱
- 膝蓋大腿関節
が存在しその部位が痛みの発生源となりやすい部位です。
オスグット・シュラッター病は皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか?
【オスグット・シュラッター病とは?】
オスグッド病 (オスグッド・シュラッター病) Osgood-Schlatter disease
成長期などに、バレーボールなどジャンプ動作が多いスポーツで多く見られるケガですが、これらもこの膝関節前面部への繰り返しのストレスが原因となり発症します。
なぜこの部位にストレスが集中しやすくなる?
スクワットのそれぞれのモーメントやモーメントアームをおさらいしていきましょう。
膝関節に負担がかかりやすいということは、膝関節への外力が大きいということになります。
そして外力が大きいということは、膝関節の外部屈曲モーメントが大きいということになります。
「膝関節を屈曲する外力が大きいということは、それだけ大腿四頭筋(膝関節の伸展)に求められる力が必要となるのは理解できますよね?」
例えば、同じ運動負荷でフロントスクワットを1ヶ月やり続けるのと、ローバースクワットを1ヶ月やり続けるのでは大腿四頭筋にかかる負荷はフロントスクワットの方が大きいと思います。
もちろんローバースクワットでも、膝関節にかかる負荷はありますからローバーをやっていれば膝前面に全くストレスがないわけではありません。
ですが膝関節前面の痛みを生じた場合には、大腿四頭筋に負荷がかかりすぎて筋の付着部や腱にストレスがかかっているので、それらの外力をコントロールしてあげればいいということになります。
例えば、普段ハイバースクワットを好んで行っている人は、ローバーへの変更で膝への負担を減らすことができるかもしれません。
またローバースクワットが膝関節への負担が少ない要因はそれだけではありません。
ハイバーよりも骨盤が前傾していることで、ハムストリングスが伸張されます。
ハムストリングスは下腿を後方へ引っ張ることで膝関節伸展を補助します。
そうすることで大腿四頭筋への負荷を軽減することが可能となります。
このように種目を変更して膝関節の負担を管理する方法もありますが、実際にはそれだけではなく膝関節に負担がかかりやすい原因には筋力や関節可動域の問題も併存していることが多いです。
筋力低下・可動域制限によりそもそも正しいフォームが取れない場合
ここでいう筋力低下とは、その重量に対して筋力が不足しているという意味合いです。
例えば100kgのバーベルをハイバーで実施する場合に必要な筋力がそれぞれ100必要だとします(例えばの数値です)。
しかしこの方は、大臀筋の筋力が不足しており70しかありません。
となると100kgのバーベルをあげるためには不足する30の分を戦略を変えなくてはいけません。
戦略を変えるとは、2つの方法があります。
- バーベルの位置(重心)を変える
- 膝を前方へ出す
この2つの戦略で股関節のモーメントアームを短くし、膝関節のモーメントアームを長くすることが理論的には可能です。
こうすることで、股関節に必要な力の配分を減らし代わりに膝関節への力の配分を増やすことで動きを成立させます。
このようなことは日常的にも起こっていることであり、筋力の不均衡により強い筋肉で代償できる戦略を私たちは取っています。
結果、大腿四頭筋にかかる負荷は増え、大臀筋との相対的な筋力の不均衡が起こり、大腿四頭筋や膝前面への負担がさらに増えるという結果になります。
そしてこのような代償戦略は関節の可動域の制限でも起こります。
例えば股関節の屈曲可動域が重要なローバースクワットで股関節の屈曲可動域の制限があるとき起こりえる代償戦略は?
- 骨盤が後傾し腰椎が屈曲する←腰椎が屈曲方向に柔軟なケース
- 骨盤が後傾し体幹が後傾する←特に重心が後方に偏位しやすくなるパターン
①はいわゆる『butt wink』と言われるもので、骨盤後傾することで重心が後方化するのを腰椎を屈曲して重心を同じ位置に保つための戦略です。腰椎の屈曲可動域がある方はこのような代償が認められやすい傾向があります。
②は腰椎の屈曲可動域が少ないためにそのまま後傾方向へ体幹が偏位してしまうパターンです。
この場合、骨盤後傾した分、重心が後方化しそれを前方へ戻せないために重心線が踵へ移動します。
そうすることで膝関節へのモーメントアームが長くなり膝関節への負担が増えます。
このように筋力の不均衡や筋力不足、関節可動域の制限などが問題で重心が後方化したり、体の各パーツの前後の移動により膝関節のモーメントアームが長くなり、大腿四頭筋への負荷が増え、膝関節前面部の痛みに繋がります。
これが動作のやり方(テクニカルな面)、機能的な問題により膝の負担が増えるメカニズムとなります。
膝関節が痛いという問題を、膝だけを見るのではなく、原因となる動作や機能面へ目を向けることで痛みの根本解決を目指すことが何よりも重要です!
まとめ
- バーの担ぐ位置によって重心位置が異なり、支えとなる筋活動が変化する。
- モーメントアームの理解によって、筋力や痛みの改善策となるフォームを導ける。
- 目的や状況によってスクワットのフォームは変化していく。
力学的観点から、スクワットについて解説しました。
個々の課題に合わせて今回の考えを試してみてください。
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「スクワットで膝を痛めたけど、なぜ痛くなるのか理解したい!」
そんなお悩みを解決します。
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・モーメントアームの基礎を学び3つのスクワットの違いを理解する
・膝関節前面部の痛みを力学的な視点から紐解く
バーベルを用いたウェイトトレーニングにおいて、スクワットはBIG3の中の1つであり脚の筋肉をはじめとして体幹筋も鍛える事ができる素晴らしい種目です。
しかし、方法を間違うと膝関節に大きなストレスをかけ、ケガの原因となってしまうことも少なくありません。
今回は代表的な3つのスクワットを例にモーメントアームの基礎を理解し、膝関節前面部の痛みを力学や運動学を用いて理解していこうと思います。
目に見えないモーメントアームを理解することは、他の種目でも非常に役立つ知識なのでぜひ最後までご覧下さい。
モーメントアームとは?
扉を例に説明していきます。
物体に回転運動を生じさせる力の効果を、
この回転軸から力のモーメントへの垂直距離を【モーメントアーム】と言います。
力のモーメントは、垂直だけではなくもちろん斜めにも作用します。斜めに作用した時がこのようなイメージです。
同じ場所から押しても、扉に対して垂直に押すのか、斜め方向に押すのかでモーメントアームが異なり扉を開けるときの重さ(体感)も変化します。
同じく扉を開ける時をイメージして下さい、同じ重さの扉でも、押す場所によって必要な力は異なります。
例えばBの位置で扉を開ける力が100必要だとします。
一方、Aはモーメントアームが半分なので、単純に倍の力200が必要となります。
それほどモーメントアームの長さは力に影響を与えるということです。
人体ではどのように考えるのか?
動作解析分野における関節モーメントの定義は非常に混乱しやすいが,関節モーメントは内部モーメントのことを示し,外力の影響によって回転させられる回転力(以下:外部モーメント)に対抗しようとする生体内部で働いている抵抗力である.すわなち筋や靱帯、骨や皮膚抵抗と考えてよいのである.このような筋・靱帯による内部モーメントのことを関節モーメントという。
例えばバーベルのハイバースクワットの膝関節を考察していきます。
バーベルスクワットでは基本的にバーベルの位置から垂直に下ろした線が重心線(厳密には体の重心とバーベルの重心を考慮)となり、それにより膝関節を屈曲する回転力が生じます、これを外部屈曲モーメントといいます。
そして膝関節が屈曲させられるのに拮抗するために大腿四頭筋が収縮し膝関節を伸展しようとします。
これを内部伸展モーメント(または関節モーメント)と言います。
なのでこの図から言えるのは、同じ重量であれば重心線(黒矢印)がよりお尻の方へ移動すればモーメントアームが長くなり膝関節へ外部屈曲モーメントが大きくなり、より膝関節を伸展するため力(内部伸展モーメント)が必要となります。
では実際にスクワットのバリエーションで見ていきます。
3つのスクワットバリエーションのモーメントアーム
赤点は関節です、股関節と膝関節となります。そして黒点線がバーベルの重心線となります。
- オレンジが膝関節の外部屈曲モーメントのモーメントアーム
- グリーンが股関節の外部屈曲モーメントのモーメントアーム
バーベルの軌道が足部の中心を通るという前提の場合は、このようになります。
膝関節のモーメントアーム(オレンジ色)は、
フロントスクワットやハイバースクワットは膝関節伸展筋による力が、ローバーに比べると必要な種目と言えます。
逆に股関節のモーメントアームは、
ローバーは股関節伸展筋の力がハイバーやフロントスクワットに比べると必要な種目と言えます。
(※矢上面上の話なので前額面や水平面の力は考慮していません。)
詳しくはこちらも
このように目には見えないモーメントアームを理解することで重りがどのように関節への外力として働き、それに対して筋が発揮する力が必要なのかが理解できます。
実はこのモーメントアームの理解が膝の痛みの原因を紐解く上では非常に重要な役割を果たします。
膝関節の痛みとモーメントアーム(矢上面の問題)
スクワットによる膝関節の痛みについては、
- 発生源(組織の損傷部位)
- 原因(なぜ痛くなったかの理由)
2つの対処が必要です。
例えばあなたがスクワットで膝を痛めて病院や接骨院にかかったとしてもほとんどの専門家は、
あなたの膝(発生源)にしか興味がありません。
痛みの改善は務めても、痛みの原因の改善には、医者や接骨院は務めない。
(※トレーニングに精通する施術者であれば◯)
しかしスクワットをして膝に痛みが出たのであれば、スクワットが自分に合った正しい方法(フォーム以外の理由も含む)で出来ていなかった可能性を考えなくては、おそらくこの方の痛みの問題は根本的には解決されないままでしょう。
では、どのように原因を解決するか?
原因を大きく分けると以下の3つとなります。
- 動作のやり方の問題
- 筋力や可動域、機能的問題
- 個性の問題
まずは大事な動作のやり方についてのお話しを先にします!
原因とは、先ほども軽く言いましたが、発生源(組織)にストレスをかけた理由であり、動作上の問題です。
矢上面上の動作と関連しているのが膝関節の痛みの中でも特に「前面部の痛み」です。
膝関節の前面部には、
- 大腿四頭筋
- 膝蓋骨
- 膝蓋腱
- 膝蓋大腿関節
が存在しその部位が痛みの発生源となりやすい部位です。
オスグット・シュラッター病は皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか?
【オスグット・シュラッター病とは?】
オスグッド病 (オスグッド・シュラッター病) Osgood-Schlatter disease
成長期などに、バレーボールなどジャンプ動作が多いスポーツで多く見られるケガですが、これらもこの膝関節前面部への繰り返しのストレスが原因となり発症します。
なぜこの部位にストレスが集中しやすくなる?
スクワットのそれぞれのモーメントやモーメントアームをおさらいしていきましょう。
膝関節に負担がかかりやすいということは、膝関節への外力が大きいということになります。
そして外力が大きいということは、膝関節の外部屈曲モーメントが大きいということになります。
「膝関節を屈曲する外力が大きいということは、それだけ大腿四頭筋(膝関節の伸展)に求められる力が必要と理解できると思います。」
例えば、同じ運動負荷でフロントスクワットを1ヶ月やり続けるのと、ローバースクワットを1ヶ月やり続けるのでは大腿四頭筋にかかる負荷はフロントスクワットの方が大きいと思います。
もちろんローバースクワットでも、膝関節にかかる負荷はありますからローバーをやっていれば膝前面に全くストレスがないわけではありません。
ですが膝関節前面の痛みを生じた場合には、大腿四頭筋に負荷がかかりすぎて筋の付着部や腱にストレスがかかっているので、それらの外力をコントロールしてあげればいいということになります。
例えば、普段ハイバースクワットを好んで行っている人は、ローバーへの変更で膝への負担を減らすことができるかもしれません。
またローバースクワットが膝関節への負担が少ない要因はそれだけではありません。
ハイバーよりも骨盤が前傾していることで、ハムストリングスが伸張されます。
ハムストリングスは下腿を後方へ引っ張ることで膝関節伸展を補助します。
そうすることで大腿四頭筋への負荷を軽減することが可能となります。
このように種目を変更して膝関節の負担を管理する方法もありますが、実際にはそれだけではなく膝関節に負担がかかりやすい原因には筋力や関節可動域の問題も併存していることが多いです。
筋力低下・可動域制限によりそもそも正しいフォームが取れない場合
ここでいう筋力低下とは、その重量に対して筋力が不足しているという意味合いです。
例えば100kgのバーベルをハイバーで実施する場合に必要な筋力がそれぞれ100必要だとします(例えばの数値です)。
しかしこの方は、大臀筋の筋力が不足しており70しかありません。
となると100kgのバーベルをあげるためには不足する30の分を戦略を変えなくてはいけません。
戦略を変えるとは、2つの方法があります。
- バーベルの位置(重心)を変える
- 膝を前方へ出す
この2つの戦略で股関節のモーメントアームを短くし、膝関節のモーメントアームを長くすることが理論的には可能です。
こうすることで、股関節に必要な力の配分を減らし代わりに膝関節への力の配分を増やすことで動きを成立させます。
このようなことは日常的にも起こっていることであり、筋力の不均衡により強い筋肉で代償できる戦略を私たちは取っています。
結果、大腿四頭筋にかかる負荷は増え、大臀筋との相対的な筋力の不均衡が起こり、大腿四頭筋や膝前面への負担がさらに増えるという結果になります。
そしてこのような代償戦略は関節の可動域の制限でも起こります。
例えば股関節の屈曲可動域が重要なローバースクワットで股関節の屈曲可動域の制限があるとき起こりえる代償戦略は?
- 骨盤が後傾し腰椎が屈曲する←腰椎が屈曲方向に柔軟なケース
- 骨盤が後傾し体幹が後傾する←特に重心が後方に偏位しやすくなるパターン
①はいわゆる『butt wink』と言われるもので、骨盤後傾することで重心が後方化するのを腰椎を屈曲して重心を同じ位置に保つための戦略です。腰椎の屈曲可動域がある方はこのような代償が認められやすい傾向があります。
②は腰椎の屈曲可動域が少ないためにそのまま後傾方向へ体幹が偏位してしまうパターンです。
この場合、骨盤後傾した分、重心が後方化しそれを前方へ戻せないために重心線が踵へ移動します。
そうすることで膝関節へのモーメントアームが長くなり膝関節への負担が増えます。
このように筋力の不均衡や筋力不足、関節可動域の制限などが問題で重心が後方化したり、体の各パーツの前後の移動により膝関節のモーメントアームが長くなり、大腿四頭筋への負荷が増え、膝関節前面部の痛みに繋がります。
これが動作のやり方(テクニカルな面)、機能的な問題により膝の負担が増えるメカニズムとなります。
膝関節が痛いという問題を、膝だけを見るのではなく、原因となる動作や機能面へ目を向けることで痛みの根本解決を目指すことが何よりも重要です!
他にも可動域の制限因子となるポイントはあるので、こちらも一緒にご購読頂くと、より理解は深まると思います。
まとめ
- バーの担ぐ位置によって重心位置が異なり、支えとなる筋活動が変化する。
- モーメントアームの理解によって、筋力や痛みの改善策となるフォームを導ける。
- 目的や状況によってスクワットのフォームは変化していく。
力学的観点から、スクワットについて解説しまた。個々の課題に合わせて今回の記事を参考に試してみてください。