スミスマシンのスクワットはフリーウエイトよりも劣る？メリットと実用性

2024年11月15日

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スミスマシンスクワットには効果があるのか？メリットと実用性

今回は「スミスマシンでのスクワットは無意味？それともメリットがあるの？」についてお話しします。

多くの人が「スクワット」と聞くと、フリーウエイトで行うスタイルを思い浮かべるのではないでしょうか。フリーウエイトは、器具の軌道が決まっていないため、自身でバランスをとりながら動作することが求められ、多くの筋肉が動員されるのが特徴です。その結果、筋肉量や筋力の向上がより期待できるとされ、特に若い男性に人気です。

このような理由から、「スミスマシンでのスクワットは効果が薄い」という声を聞くこともあるかもしれません。
しかし、果たして本当にそうなのでしょうか？

結論

効果はある！（効果の種類が異なる）

スミスマシンを使ったスクワットにも、しっかりとした効果があります。フリーウエイトにはないメリットも多く、状況に応じて取り入れることでトレーニングの幅が広がります。これから、その理由を詳しく見ていきましょう。

スミスマシンのスクワットに対する見解

スミスマシンでのスクワットは、筋肉の活動量においてフリーウエイトには劣ると言われています。

ある研究では、トレーニング経験者がフリーウエイトとスミスマシンでのスクワットを行った場合、フリーウエイトのほうが筋活動が大きいことが確認されました。

左から順に

前脛骨筋
腓腹筋
外側広筋
内側広筋
大腿二頭筋
腹直筋
脊柱起立筋

筋活動が高ければ、筋肉への刺激が強くなると考えられます。したがって、筋肥大や筋力向上にはフリーウエイトが優れているかもしれません。

総合的な筋活動を見れば「フリーウエイトスクワット」が優位である

しかし、それだけで「スミスマシンは意味がない」と言い切るのは早計です。

スミスマシンのメリット

スミスマシンにはフリーウエイトにはない、次のようなメリットがあります。

フォームが安定しやすい
フリーウエイトでは、バーベルやダンベルを自分で安定させる必要があるため、適切なフォームを習得するまでに時間がかかることがあります。しかし、スミスマシンは軌道が固定されているため、初期の段階からフォームが安定しやすく、比較的早く適切なフォームを身につけやすいとされています。これにより、初心者でも安心して負荷をかけることができ、筋力や筋肉量の増加を早い段階で実感しやすくなります。
多様な姿勢でのトレーニングが可能
スミスマシンは、フリーウエイトでは難しい姿勢でのスクワットを行えるのも魅力です。例えば「チェアースクワット（下記写真）」では、スミスマシンに寄りかかることで上体を直立させたまま足を前方に出して動作することが可能です。これにより、腰への負担を軽減しながら、異なる角度で筋肉を刺激することができます。

スクワットをフリーウエイトで行う場合、バランスを保つ必要があるため、基本的にはバーベルの真下に足を置き、上半身を前に傾ける姿勢が求められます。

一方で、チェアースクワットではスミスマシンに体を預けることで、足を前方に配置しながら上半身を直立させた状態で動作を行うことができます。

つまり、フリーウエイトでは不可能な体勢でのトレーニングが、スミスマシンを使うことで実現可能になるのです。

フリーウエイトと違い、マシンが体の安定性を確保してくれることでバリュエーションが増す

具体的にどの筋肉にどう影響するかは未知数ではありますが、「上半身を直立させたまま行うスクワット」は、通常の「上半身を前に傾けるスクワット」と比較して異なる部位に負荷をかけることができ、多角的に筋肉を刺激できると考えられます。また、腰への負担を軽減できるため、腰痛のリスクも抑えられるでしょう。

スミスマシンのデメリット

筋力向上には不向きな側面がある
スミスマシンは、マシン自体が安定性を確保するため、自分でバーを扱う技術が劣ってしまいます。マシンの規格によっては、鉛直上の軌道ではなく、少し斜めに走行しているマシンもあります。そのため、力が多方向に分散しながら動作を行うことにもなります。
スクワットの技術向上の弊害
個人的な意見として、あくまでもスクワットの優先順位は「フリーウエイト」だと考えています。理由としては、たしかにスミスマシンは、初心者にとっては扱いやすく安全性にも長けています。しかし、上記でも話したように力が分散しながらでもバーを挙上できてしまうため、一点集中の重力に対し真上に挙上するフリーウエイトの方が明らかに難易度は高いです。「筋力向上・体の使い方」を含め長期的にみるとフリーウエイトを先行した方が、後の恩恵は大きいはずです。

基本は鉛直上に「上げる」がトレーニングの根幹と捉えましょう。

まとめ

今回のテーマ「スミスマシンでのスクワットは意味ない？」に対して、明確に「意味がある」とお答えします。スミスマシンには、フォームが安定しやすく、またフリーウエイトでは難しい姿勢でのトレーニングが可能という特有のメリットがあり、状況に応じた活用が有益です。

専門的な記事

【今回の参考文献】
A comparison of free weight squat to Smith machine squat using electromyography
筋電図を用いたフリーウェイトスクワットとスミスマシンスクワットの比較

本研究は、フリーウエイトスクワットとスミスマシンスクワットの筋電図（Electromyography, EMG）を用いた比較を通じて、両者がどのように筋活動に影響を与えるかを明らかにすることを目的としています。スクワットは下半身の筋力トレーニングとして広く利用されており、フリーウエイトとスミスマシンの選択はトレーニングの目的や安全性に影響を与えます。

1. 研究の背景

スクワットは、大腿四頭筋、大殿筋、ハムストリングスなど下半身の主要筋群をターゲットにした運動であり、筋力増強、バランス向上、関節の安定性の強化に効果的とされています。

フリーウエイトスクワットはバランス維持が必要なため、補助的な筋肉も含めた広範囲な筋活動を促します。

一方、スミスマシンは固定されたバーで動作がガイドされるため、フォームの安定性を確保しやすく、初心者やリハビリ用途にも適しています。しかし、動作の自由度が低いため、筋肉への刺激に違いが生じる可能性があります。本研究はこれらの相違点を科学的に検証するため、筋電図を使用して筋活動を測定しました。

2. 研究手法

対象者

本研究には、健康な成人男性10名が参加しました。全員が1年以上の筋力トレーニング経験を有し、適切なスクワットフォームを習得していることが条件とされました。

実験条件

被験者はフリーウエイトスクワットとスミスマシンスクワットをそれぞれ実施しました。
各スクワットは1RM（1 Repetition Maximum）の70%の負荷を使用し、正しいフォームで実施されました。

フリーウエイトスクワット: 可動域とバランスが制限されない状態で実施。
スミスマシンスクワット: バーが固定されているため、水平および垂直方向の安定性が保証された状態で実施。

筋電図測定

大腿四頭筋（大腿直筋、外側広筋）、ハムストリングス（大腿二頭筋）、および脊柱起立筋の筋活動をEMGを用いて測定しました。各筋群の最大随意収縮（MVC）を基準に、筋活動レベルが相対的に評価されました。

3. 結果

筋活動の比較

大腿四頭筋
フリーウエイトスクワットの方がスミスマシンスクワットよりも高い筋活動が記録されました。特に、外側広筋の活動が顕著でした。
ハムストリングス
フリーウエイトスクワットでの筋活動はスミスマシンスクワットよりも有意に高かったです。これは、バランス維持のための補助筋の関与が大きいことを示しています。
脊柱起立筋
フリーウエイトスクワットはスミスマシンスクワットと比較して、脊柱起立筋の活動が高く、上体の安定性を維持するための努力が大きいことが示されました。

補助筋やバランスを確保するための脊柱起立筋などトータルで「フリーウエイト」

バランスと安定性

スミスマシンスクワットではバーが固定されているため、バランスを取る必要がなく、下肢の主要筋群への負荷が集中していました。一方、フリーウエイトスクワットでは全身の筋肉が連動して動作をサポートするため、安定性を保つための筋活動が大きくなりました。

4. 考察

トレーニングの目的に応じた選択

フリーウエイトスクワットは、全身の協調性を高め、広範囲の筋肉を同時に鍛えるのに適しています。特に、アスリートや筋力を総合的に向上させたい人に推奨されます。ただし、フォームの習得が難しいため、初心者や関節に問題がある人には注意が必要です。
スミスマシンスクワットは、特定の筋群に集中した負荷をかけたい場合に適しています。また、初心者や怪我のリスクを抑えたい場合、またはリハビリの場面で有効です。ただし、動作の自由度が制限されるため、特定の筋群以外の刺激が少ない点が課題です。

長期的なトレーニング向上を考えるなら「フリーウエイト」

健康や運動習慣を考えるならフリーウエイトよりも操作性と安全性に適したスミスマシン

安全性と効果のトレードオフ

スミスマシンは安定性が高い反面、自然な動作軌道を制限するため、関節や筋肉への負荷が偏る可能性があります。一方、フリーウエイトは全身の連動性を重視した負荷をかけることができますが、フォームを誤ると怪我のリスクが高まります。

5. 結論と実践的な提言

フリーウエイトスクワットとスミスマシンスクワットは、それぞれ異なる利点を持つため、トレーニングの目的や個々の能力に応じた使い分けが重要です。

アスリートや経験者
フリーウエイトスクワットを中心にトレーニングを行い、全身のバランス能力を高めることが推奨されます。
初心者やリハビリ中の人
スミスマシンスクワットを選択し、フォームの安定性を確保しつつ、特定の筋群を強化することが効果的です。

また、両者を組み合わせて多角的な刺激を与えることで、筋力の総合的な向上が期待されます。本研究はスクワットの選択に関する科学的根拠を提供するものであり、今後のトレーニングプログラムの設計に役立つと考えられます。

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スミスマシンスクワットには効果があるのか？メリットと実用性

今回は「スミスマシンでのスクワットは無意味？それともメリットがあるの？」についてお話しします。

多くの人が「スクワット」と聞くと、フリーウエイトで行うスタイルを思い浮かべるのではないでしょうか。

フリーウエイトは、器具の軌道が決まっていないため、自身でバランスをとりながら動作することが求められ、多くの筋肉が動員されるのが特徴です。その結果、筋肉量や筋力の向上がより期待できるとされ、特に若い男性に人気です。

結論

効果はある！（効果の種類が異なる）

スミスマシンのスクワットに対する見解

スミスマシンでのスクワットは、筋肉の活動量においてフリーウエイトには劣ると言われています。

左から順に

前脛骨筋
腓腹筋
外側広筋
内側広筋
大腿二頭筋
腹直筋
脊柱起立筋

筋活動が高ければ、筋肉への刺激が強くなると考えられます。したがって、筋肥大や筋力向上にはフリーウエイトが優れているかもしれません。

総合的な筋活動を見れば「フリーウエイトスクワット」が優位である

しかし、それだけで「スミスマシンは意味がない」と言い切るのは早計です。

スミスマシンのメリット

スミスマシンにはフリーウエイトにはない、次のようなメリットがあります。

フォームが安定しやすい
フリーウエイトでは、バーベルやダンベルを自分で安定させる必要があるため、適切なフォームを習得するまでに時間がかかることがあります。しかし、スミスマシンは軌道が固定されているため、初期の段階からフォームが安定しやすく、比較的早く適切なフォームを身につけやすいとされています。これにより、初心者でも安心して負荷をかけることができ、筋力や筋肉量の増加を早い段階で実感しやすくなります。
多様な姿勢でのトレーニングが可能
スミスマシンは、フリーウエイトでは難しい姿勢でのスクワットを行えるのも魅力です。例えば「チェアースクワット（下記写真）」では、スミスマシンに寄りかかることで上体を直立させたまま足を前方に出して動作することが可能です。これにより、腰への負担を軽減しながら、異なる角度で筋肉を刺激することができます。

つまり、フリーウエイトでは不可能な体勢でのトレーニングが、スミスマシンを使うことで実現可能になるのです。

フリーウエイトと違い、マシンが体の安定性を確保してくれることでバリュエーションが増す

具体的にどの筋肉にどう影響するかは未知数ではありますが、「上半身を直立させたまま行うスクワット」は、通常の「上半身を前に傾けるスクワット」と比較して異なる部位に負荷をかけることができ、多角的に筋肉を刺激できると考えられます。

また、腰への負担を軽減できるため、腰痛のリスクも抑えられるでしょう。

スミスマシンのデメリット

筋力向上には不向きな側面がある
スミスマシンは、マシン自体が安定性を確保するため、自分でバーを扱う技術が劣ってしまいます。
マシンの規格によっては、鉛直上の軌道ではなく、少し斜めに走行しているマシンもあります。そのため、力が多方向に分散しながら動作を行うことにもなります。
スクワットの技術向上の弊害
個人的な意見として、あくまでもスクワットの優先順位は「フリーウエイト」だと考えています。
理由としては、たしかにスミスマシンは、初心者にとっては扱いやすく安全性にも長けています。しかし、上記でも話したように力が分散しながらでもバーを挙上できてしまうため、重力に対し一点集中で真上に挙上するフリーウエイトの方が明らかに難易度は高いです。「筋力向上・体の使い方」を含め長期的にみるとフリーウエイトを先行した方が、後の恩恵は大きいはずです。

基本は鉛直上に「上げる」がトレーニングの根幹と捉えましょう。

まとめ

今回のテーマ「スミスマシンでのスクワットは意味ない？」に対して、明確に「意味がある」とお答えします。

スミスマシンには、フォームが安定しやすく、またフリーウエイトでは難しい姿勢でのトレーニングが可能という特有のメリットがあり、状況に応じた活用が有益です。

専門的な記事

【今回の参考文献】
A comparison of free weight squat to Smith machine squat using electromyography
筋電図を用いたフリーウェイトスクワットとスミスマシンスクワットの比較

本研究は、フリーウエイトスクワットとスミスマシンスクワットの筋電図（Electromyography, EMG）を用いた比較を通じて、両者がどのように筋活動に影響を与えるかを明らかにすることを目的としています。

スクワットは下半身の筋力トレーニングとして広く利用されており、フリーウエイトとスミスマシンの選択はトレーニングの目的や安全性に影響を与えます。

1. 研究の背景

フリーウエイトスクワットはバランス維持が必要なため、補助的な筋肉も含めた広範囲な筋活動を促します。

2. 研究手法

対象者

実験条件

フリーウエイトスクワット: 可動域とバランスが制限されない状態で実施。
スミスマシンスクワット: バーが固定されているため、水平および垂直方向の安定性が保証された状態で実施。

筋電図測定

大腿四頭筋（大腿直筋、外側広筋）
ハムストリングス（大腿二頭筋）
脊柱起立筋

筋活動をEMGを用いて測定しました。
各筋群の最大随意収縮（MVC）を基準に、筋活動レベルが相対的に評価されました。

3. 結果

筋活動の比較

大腿四頭筋
フリーウエイトスクワットの方がスミスマシンスクワットよりも高い筋活動が記録されました。特に、外側広筋の活動が顕著でした。
ハムストリングス
フリーウエイトスクワットでの筋活動はスミスマシンスクワットよりも有意に高かったです。これは、バランス維持のための補助筋の関与が大きいことを示しています。
脊柱起立筋
フリーウエイトスクワットはスミスマシンスクワットと比較して、脊柱起立筋の活動が高く、上体の安定性を維持するための努力が大きいことが示されました。

補助筋やバランスを確保するための脊柱起立筋などトータルで「フリーウエイト」

バランスと安定性

4. 考察

トレーニングの目的に応じた選択

フリーウエイトスクワットは、全身の協調性を高め、広範囲の筋肉を同時に鍛えるのに適しています。特に、アスリートや筋力を総合的に向上させたい人に推奨されます。ただし、フォームの習得が難しいため、初心者や関節に問題がある人には注意が必要です。
スミスマシンスクワットは、特定の筋群に集中した負荷をかけたい場合に適しています。また、初心者や怪我のリスクを抑えたい場合、またはリハビリの場面で有効です。ただし、動作の自由度が制限されるため、特定の筋群以外の刺激が少ない点が課題です。

長期的なトレーニング向上を考えるなら「フリーウエイト」

健康や運動習慣を考えるならフリーウエイトよりも操作性と安全性に適したスミスマシン