筋トレで基礎代謝は上がるのか?筋トレなしのダイエットに与える影響も徹底比較
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前半に初心者用記事・後半に専門記事を掲載しています。
結論や要点のみを知りたい方は、前半記事だけでもわかる内容になっていますのでご購読ください。
初心者用記事
筋トレで基礎代謝アップ!ダイエット効果はどれくらいあるのか?
ダイエット関連の記事や雑誌を見ると、
- 「筋トレで基礎代謝を上げて脂肪を燃焼しよう!」
- 「基礎代謝を上げてリバウンドを防止!」
というフレーズを目にします。どの媒体でも、筋トレによる基礎代謝向上がダイエット成功の鍵として取り上げられている印象です。
そこで今回は、「筋トレで基礎代謝はどれくらい上がるのか?そしてそれがダイエットにどのように影響するのか?」というテーマで深掘りしていきます。
ダイエット成功の基本:アンダーカロリー
これまでも当ブログで何度か触れてきましたが、ダイエットを成功させるには「アンダーカロリー」が欠かせません。アンダーカロリーとは、摂取カロリーよりも消費カロリーが上回る状態のことを指します。
逆に、消費カロリーが摂取カロリーを下回る「オーバーカロリー」の状態では、体脂肪を減らすのは極めて困難です。アンダーカロリーを達成するためには、次の3つの方法が考えられます。
- 消費カロリーを増やす
- 摂取カロリーを減らす
- 消費カロリーを増やし、かつ摂取カロリーを減らす
「筋トレで基礎代謝を上げる」というアプローチは、1つ目の「消費カロリーを増やす」に該当します。
基礎代謝とは、心臓の拍動や呼吸といった生命維持活動に必要なエネルギーのこと。
つまり、「何もしなくても消費されるカロリー」です。
この基礎代謝には筋肉が大きく関与しています。筋トレで筋肉量が増えれば基礎代謝が向上し、消費カロリーが増えることでアンダーカロリー状態を作りやすくなります。これが多くのメディアで「筋トレがダイエットに効果的」と言われる理由です。
筋トレで基礎代謝はどれくらい変化する?
本題に入る前に、基礎代謝を構成する要素を確認してみましょう。以下の表をご覧ください
臓器・組織 | 1日・1kgあたりのエネルギー代謝量 |
---|---|
筋肉 (骨格筋) | 13kcal |
脂肪組織 | 4.5kcal |
肝臓 | 200kcal |
脳 | 240kcal |
心臓 | 440kcal |
腎臓 | 440kcal |
驚くかもしれませんが、筋肉が1日1kgあたりに消費するエネルギーはわずか13kcalです。
仮に筋トレで筋肉が5kg増えたとしても、基礎代謝の増加量は理論上65kcalにすぎません。
しかし、これは筋肉そのものの代謝量に限った話です。筋トレを継続することで、発汗や活動量が増えたり、交感神経が活性化したりといった要因による代謝向上も期待できます。
実際の研究でも、筋トレが基礎代謝に与える影響は確認されています。(後半に専門記事)
- 研究1
トレーニング未経験の男女に9カ月間、週3回のエクササイズ(スクワットやベンチプレスなど)を実施した場合- トレーニング前:1653kcal/日
- トレーニング後:1726kcal/日
- 基礎代謝の増加量:+73kcal/日
- 研究2
座りがちで肥満気味の女性に、20週間(4.6ヶ月)のマシントレーニングを週4回行わせた場合- トレーニング前:1451kcal/日
- トレーニング後:1495kcal/日
- 基礎代謝の増加量:+44kcal/日
これらの結果を踏まえると、筋肉が1kg増加することで、基礎代謝は1日あたり30〜50kcalほど向上すると推測されます。この数字が「少ない」と感じるか「大きい」と感じるかは個人次第ですが、私個人としてはかなり有意義だと思います。
パーソナルジムは3ヶ月は継続しなければいけない理由
これは「トレーナー側の一方的な偏見」という訳ではなく、実際に3ヶ月続けなければ、クライアントにとっても成果を感じにくいという部分が1番の理由になります。
特に「運動初心者」「トレーニングが初めて」という方は、尚のこと3ヶ月は継続するべきです。
変化は個人差によってありますが、3ヶ月後には必ず何かしらの変化が起こります。
まとめ
今回は「筋トレで基礎代謝はどれくらい上がるのか?」というテーマでお話ししました。筋トレは直接的な基礎代謝向上だけでなく、活動量や代謝全般にも良い影響を与えます。
ただし注意したいのは、筋肉量が増えても体脂肪の減少次第では、トータルで見ると基礎代謝が下がる可能性もあることです。
ダイエットに取り組む際には、このようなポイントを押さえながら、効果的な筋トレと食事管理を意識してみてください。
専門記事①
【今回の参考文献】
「Effect of Resistance Training on Resting Metabolic Rate and Its Estimation by a Dual-Energy X-ray Absorptiometry Metabolic Map」
安静時代謝率に対するレジスタンストレーニングの効果とデュアルエネルギーX線吸収代謝マップによるその推定
はじめに
安静時代謝率(Resting Metabolic Rate, RMR)は、エネルギー消費の大部分を占め、体重管理や健康維持に重要な要因です。RMRは主に除脂肪体重(Fat-Free Mass, FFM)に依存するとされ、特に骨格筋がその中心的役割を果たします。
本研究では、筋力トレーニング(Resistance Training, RT)がRMRに及ぼす影響を調査し、デュアルエネルギーX線吸収測定法(Dual-Energy X-ray Absorptiometry, DXA)のメタボリックマップを使用して、その変化を詳細に評価しました。
目的
- 筋力トレーニングがRMR(安静時代謝率)に与える影響を明らかにする。
- DXAメタボリックマップを用いた新しい方法で、局所的な代謝活動の変化を評価する。
方法
対象者
本研究には、若年成人男女が参加しました。
参加者は運動習慣のない健康な個人に限定し、筋力トレーニングの影響を純粋に評価できるよう設計しました。
研究デザイン
- ベースライン測定
RMR、体組成(FFMと体脂肪量)、およびDXAメタボリックマップによる基礎データを取得。 - 介入
参加者を筋力トレーニング群と対照群に分け、筋力トレーニング群には週3回の全身トレーニングプログラムを16週間実施。 - フォローアップ測定
介入後、再度RMRおよび体組成を評価し、DXAメタボリックマップを用いて局所代謝の変化を解析。
測定方法
- RMR測定: 間接熱量測定法を使用し、安静時の酸素消費量および二酸化炭素排出量を測定。
- 体組成: DXAでFFMおよび体脂肪量を計測。
- DXAメタボリックマップ: DXA画像データを基に、部位別の代謝率を推定。
結果
RMR(安静時代謝率)の変化
- 筋力トレーニング群ではRMR(安静時代謝率)が有意に増加した。増加幅は主にFFM(除脂肪量)の増加に起因していると推定された。
- 対照群ではRMRに有意な変化は見られなかった。
体組成の変化
- 筋力トレーニング群はFFM(除脂肪量)の有意な増加を示し、特に脚部および胴体部の筋肉量が増加。
- 体脂肪量は両群とも有意な変化は見られなかったが、トレーニング群では減少傾向が観察された。
DXAメタボリックマップの解析
- 筋力トレーニング群では、局所的な代謝活動が特に筋肉量の増加した部位で顕著に向上していることが確認された。
- DXAメタボリックマップは、RMRの変化が全身のFFM増加に均等に反映されているわけではなく、特定部位が代謝効率に大きく寄与している可能性を示唆。
考察
- 筋力トレーニングのRMRへの影響
本研究は、筋力トレーニングがRMRを向上させる効果を明確に示しました。特に、FFMの増加がRMR向上の主要因であることが確認されました。これは、筋肉が安静時のエネルギー消費において活発であるためと考えられます。 - DXAメタボリックマップの有用性
DXAメタボリックマップの使用により、局所的な代謝活動の変化を詳細に評価できることが示されました。従来の全身測定では見逃されがちな部位特異的な変化を捉えることが可能です。例えば、脚部の筋肉量増加がRMR向上に特に寄与していることが本研究で明らかになりました。 - 体脂肪量の変化
体脂肪量に大きな変化が見られなかった理由として、16週間という介入期間の短さや、食事制御の影響が挙げられます。しかし、筋力トレーニングにより体脂肪量が減少傾向を示したことは、長期的な観点で評価すべき重要な点です。
結論
筋力トレーニングは、FFMの増加を通じてRMRを有意に向上させることが示されました。また、DXAメタボリックマップの利用により、代謝活動の部位特異的な変化を詳細に評価する新しい方法論が提示されました。これらの知見は、体重管理や健康増進のための効果的なトレーニング戦略の設計に貢献する可能性があります。
以下は、「The Effects of a 20-week Exercise Training Program on Resting Metabolic Rate in Previously Sedentary, Moderately Obese Women」の内容を7000文字程度でまとめたものです。
専門記事②
【今回の参考文献】
The Effects of a 20-week Exercise Training Program on Resting Metabolic Rate in Previously Sedentary, Moderately Obese Women
20週間の運動トレーニングプログラムが、以前は座りがちで中等度の肥満だった女性の安静時代謝率に与える影響
はじめに
安静時代謝率(Resting Metabolic Rate, RMR)は、総エネルギー消費量に大きく寄与し、特に肥満女性において体重管理や肥満改善における重要な指標とされています。
本研究では、以前は座りがちで中程度に肥満した女性を対象に、20週間の運動プログラムがRMRに与える影響を調査しました。また、体組成の変化がRMRに与える関係についても検討しました。
目的
- 運動トレーニングがRMR(安静時代謝率)に及ぼす影響を明らかにする。
- 運動による体組成の変化とRMRの関連性を評価する。
方法
対象者
- 対象は18~45歳の中程度に肥満(BMI: 30~34.9)の女性で、過去6か月間に運動習慣がないことが条件。
- 参加者はランダムに2群に分けられた。
- 運動群: 20週間の運動プログラムに参加。
- 対照群: 運動せず通常の生活を維持。
運動プログラム
- トレーニングは週5日実施。
- 3日: 有酸素運動(30~60分、中程度の強度)。
- 2日: 筋力トレーニング(全身の主要筋群を対象とした中強度のエクササイズ)。
- プログラムの進行に応じて運動強度と持続時間を漸進的に増加。
測定
- RMR
間接熱量測定法を使用し、運動前後で測定。 - 体組成
デュアルエネルギーX線吸収測定法(DXA)で測定し、脂肪量(FM)と除脂肪体重(Fat-Free Mass, FFM)を評価。 - 身体活動レベル
- フィットネスバンドやアンケートで日常活動を記録。
結果
RMRの変化
- 運動群ではRMRが有意に増加(平均+4.5%)したが、対照群ではほとんど変化が見られなかった。
- 運動群のRMRの増加は主にFFMの増加と相関していた。
体組成の変化
- 運動群では、FFMが有意に増加し(平均+1.2kg)、FMが減少(平均-3.5kg)した。
- 対照群では、体組成に有意な変化は観察されなかった。
身体活動レベル
- 運動群は運動プログラムを通じて身体活動量を大幅に増加させたが、対照群ではベースラインの活動レベルに留まった。
考察
RMRへの運動の影響
本研究は、20週間の運動プログラムがRMRを有意に増加させることを示しました。特に、筋力トレーニングを含む複合的な運動プログラムがFFMの増加をもたらし、これがRMR向上に寄与している可能性が高いと考えられます。
体組成の変化とその意義
運動群ではFMの減少とFFMの増加が同時に観察され、これがRMRの向上に重要な役割を果たしました。特にFFMは代謝的に活発であるため、その増加は基礎代謝の向上に直接つながります。さらにFMの減少は体重管理や肥満関連疾患のリスク低減に寄与します。
運動プログラムの構成
有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせは、体脂肪の減少と筋肉量の増加の両方を促進する効果的な方法であると考えられます。本研究は、特に肥満女性において、両者を組み合わせた運動プログラムがRMR向上と体組成改善において効果的であることを示唆しています。
長期的な効果と課題
RMRの増加は長期的な体重管理に役立つ可能性がありますが、持続可能な効果を維持するには、運動習慣を継続することが重要です。また、研究期間が20週間に限定されているため、より長期的な追跡調査が必要です。さらに、参加者の食事制御は本研究では詳細に管理されていなかったため、食事の影響を排除した形でのさらなる研究が求められます。
結論
20週間の運動トレーニングプログラムは、以前は座りがちで中程度に肥満した女性において、RMRを有意に増加させ、体組成を改善する効果があることが示されました。
本研究は、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせたアプローチが、肥満管理や基礎代謝向上に有効であることを明確に示しています。この知見は、健康増進や肥満予防のための運動プログラム設計において実践的な応用が期待されます。
【札幌パーソナルジムMORE】札幌大通/バスセンターエリア
通い放題|都度払い|札幌初のシェア割プラン
前半に初心者用記事・後半に専門記事を掲載しています。
結論や要点のみを知りたい方は、前半記事だけでもわかる内容になっていますのでご購読ください。
初心者用記事
筋トレで基礎代謝アップ!ダイエット効果はどれくらいあるのか?
ダイエット関連の記事や雑誌を見ると、
- 「筋トレで基礎代謝を上げて脂肪を燃焼しよう!」
- 「基礎代謝を上げてリバウンドを防止!」
というフレーズを目にします。どの媒体でも、筋トレによる基礎代謝向上がダイエット成功の鍵として取り上げられている印象です。
そこで今回は、「筋トレで基礎代謝はどれくらい上がるのか?そしてそれがダイエットにどのように影響するのか?」というテーマで深掘りしていきます。
ダイエット成功の基本:アンダーカロリー
これまでも当ブログで何度か触れてきましたが、ダイエットを成功させるには「アンダーカロリー」が欠かせません。アンダーカロリーとは、摂取カロリーよりも消費カロリーが上回る状態のことを指します。
逆に、消費カロリーが摂取カロリーを下回る「オーバーカロリー」の状態では、体脂肪を減らすのは極めて困難です。アンダーカロリーを達成するためには、次の3つの方法が考えられます。
- 消費カロリーを増やす
- 摂取カロリーを減らす
- 消費カロリーを増やし、かつ摂取カロリーを減らす
「筋トレで基礎代謝を上げる」というアプローチは、1つ目の「消費カロリーを増やす」に該当します。
基礎代謝とは、心臓の拍動や呼吸といった生命維持活動に必要なエネルギーのこと。
つまり、「何もしなくても消費されるカロリー」です。
この基礎代謝には筋肉が大きく関与しています。筋トレで筋肉量が増えれば基礎代謝が向上し、消費カロリーが増えることでアンダーカロリー状態を作りやすくなります。
これが多くのメディアで「筋トレがダイエットに効果的」と言われる理由です。
筋トレで基礎代謝はどれくらい変化する?
本題に入る前に、基礎代謝を構成する要素を確認してみましょう。以下の表をご覧ください。
臓器・組織 | 1日・1kgあたりのエネルギー代謝量 |
---|---|
筋肉 (骨格筋) | 13kcal |
脂肪組織 | 4.5kcal |
肝臓 | 200kcal |
脳 | 240kcal |
心臓 | 440kcal |
腎臓 | 440kcal |
驚くかもしれませんが、筋肉が1日1kgあたりに消費するエネルギーはわずか13kcalです。
仮に筋トレで筋肉が5kg増えたとしても、基礎代謝の増加量は理論上65kcalにすぎません。
しかし、これは筋肉そのものの代謝量に限った話です。筋トレを継続することで、発汗や活動量が増えたり、交感神経が活性化したりといった要因による代謝向上も期待できます。
実際の研究でも、筋トレが基礎代謝に与える影響は確認されています。(後半に専門記事)
- 研究1
トレーニング未経験の男女に9カ月間、週3回のエクササイズ(スクワットやベンチプレスなど)を実施した場合- トレーニング前:1653kcal/日
- トレーニング後:1726kcal/日
- 基礎代謝の増加量:+73kcal/日
- 研究2
座りがちで肥満気味の女性に、20週間(4.6ヶ月)のマシントレーニングを週4回行わせた場合- トレーニング前:1451kcal/日
- トレーニング後:1495kcal/日
- 基礎代謝の増加量:+44kcal/日
これらの結果を踏まえると、筋肉が1kg増加することで、基礎代謝は1日あたり30〜50kcalほど向上すると推測されます。
この数字が「少ない」と感じるか「大きい」と感じるかは個人次第ですが、私個人としてはかなり有意義だと思います。
パーソナルジムは3ヶ月は継続しなければいけない理由
これは「トレーナー側の一方的な偏見」という訳ではなく、実際に3ヶ月続けなければ、クライアントにとっても成果を感じにくいという部分が1番の理由になります。
特に「運動初心者」「トレーニングが初めて」という方は、尚のこと3ヶ月は継続するべきです。
変化は個人差によってありますが、3ヶ月後には必ず何かしらの変化が起こります。
まとめ
今回は「筋トレで基礎代謝はどれくらい上がるのか?」というテーマでお話ししました。筋トレは直接的な基礎代謝向上だけでなく、活動量や代謝全般にも良い影響を与えます。
ただし注意したいのは、筋肉量が増えても体脂肪の減少次第では、トータルで見ると基礎代謝が下がる可能性もあることです。
ダイエットに取り組む際には、このようなポイントを押さえながら、効果的な筋トレと食事管理を意識してみてください。
専門記事①
【今回の参考文献】
「Effect of Resistance Training on Resting Metabolic Rate and Its Estimation by a Dual-Energy X-ray Absorptiometry Metabolic Map」
安静時代謝率に対するレジスタンストレーニングの効果とデュアルエネルギーX線吸収代謝マップによるその推定
はじめに
安静時代謝率(Resting Metabolic Rate, RMR)は、エネルギー消費の大部分を占め、体重管理や健康維持に重要な要因です。RMRは主に除脂肪体重(Fat-Free Mass, FFM)に依存するとされ、特に骨格筋がその中心的役割を果たします。
本研究では、筋力トレーニング(Resistance Training, RT)がRMRに及ぼす影響を調査し、デュアルエネルギーX線吸収測定法(Dual-Energy X-ray Absorptiometry, DXA)のメタボリックマップを使用して、その変化を詳細に評価しました。
目的
- 筋力トレーニングがRMR(安静時代謝率)に与える影響を明らかにする。
- DXAメタボリックマップを用いた新しい方法で、局所的な代謝活動の変化を評価する。
方法
対象者
本研究には、若年成人男女が参加しました。
参加者は運動習慣のない健康な個人に限定し、筋力トレーニングの影響を純粋に評価できるよう設計しました。
研究デザイン
- ベースライン測定
RMR、体組成(FFMと体脂肪量)、およびDXAメタボリックマップによる基礎データを取得。 - 介入
参加者を筋力トレーニング群と対照群に分け、筋力トレーニング群には週3回の全身トレーニングプログラムを16週間実施。 - フォローアップ測定
介入後、再度RMRおよび体組成を評価し、DXAメタボリックマップを用いて局所代謝の変化を解析。
測定方法
- RMR測定: 間接熱量測定法を使用し、安静時の酸素消費量および二酸化炭素排出量を測定。
- 体組成: DXAでFFMおよび体脂肪量を計測。
- DXAメタボリックマップ: DXA画像データを基に、部位別の代謝率を推定。
結果
RMR(安静時代謝率)の変化
- 筋力トレーニング群ではRMR(安静時代謝率)が有意に増加した。増加幅は主にFFM(除脂肪量)の増加に起因していると推定された。
- 対照群ではRMRに有意な変化は見られなかった。
体組成の変化
- 筋力トレーニング群はFFM(除脂肪量)の有意な増加を示し、特に脚部および胴体部の筋肉量が増加。
- 体脂肪量は両群とも有意な変化は見られなかったが、トレーニング群では減少傾向が観察された。
DXAメタボリックマップの解析
- 筋力トレーニング群では、局所的な代謝活動が特に筋肉量の増加した部位で顕著に向上していることが確認された。
- DXAメタボリックマップは、RMRの変化が全身のFFM増加に均等に反映されているわけではなく、特定部位が代謝効率に大きく寄与している可能性を示唆。
考察
- 筋力トレーニングのRMRへの影響
本研究は、筋力トレーニングがRMRを向上させる効果を明確に示しました。特に、FFMの増加がRMR向上の主要因であることが確認されました。これは、筋肉が安静時のエネルギー消費において活発であるためと考えられます。 - DXAメタボリックマップの有用性
DXAメタボリックマップの使用により、局所的な代謝活動の変化を詳細に評価できることが示されました。従来の全身測定では見逃されがちな部位特異的な変化を捉えることが可能です。例えば、脚部の筋肉量増加がRMR向上に特に寄与していることが本研究で明らかになりました。 - 体脂肪量の変化
体脂肪量に大きな変化が見られなかった理由として、16週間という介入期間の短さや、食事制御の影響が挙げられます。しかし、筋力トレーニングにより体脂肪量が減少傾向を示したことは、長期的な観点で評価すべき重要な点です。
結論
筋力トレーニングは、FFMの増加を通じてRMRを有意に向上させることが示されました。また、DXAメタボリックマップの利用により、代謝活動の部位特異的な変化を詳細に評価する新しい方法論が提示されました。
これらの知見は、体重管理や健康増進のための効果的なトレーニング戦略の設計に貢献する可能性があります。
専門記事②
【今回の参考文献】
The Effects of a 20-week Exercise Training Program on Resting Metabolic Rate in Previously Sedentary, Moderately Obese Women
20週間の運動トレーニングプログラムが、以前は座りがちで中等度の肥満だった女性の安静時代謝率に与える影響
はじめに
安静時代謝率(Resting Metabolic Rate, RMR)は、総エネルギー消費量に大きく寄与し、特に肥満女性において体重管理や肥満改善における重要な指標とされています。
本研究では、以前は座りがちで中程度に肥満した女性を対象に、20週間の運動プログラムがRMRに与える影響を調査しました。また、体組成の変化がRMRに与える関係についても検討しました。
目的
- 運動トレーニングがRMR(安静時代謝率)に及ぼす影響を明らかにする。
- 運動による体組成の変化とRMRの関連性を評価する。
方法
対象者
- 対象は18~45歳の中程度に肥満(BMI: 30~34.9)の女性で、過去6か月間に運動習慣がないことが条件。
- 参加者はランダムに2群に分けられた。
- 運動群: 20週間の運動プログラムに参加。
- 対照群: 運動せず通常の生活を維持。
運動プログラム
- トレーニングは週5日実施。
- 3日: 有酸素運動(30~60分、中程度の強度)。
- 2日: 筋力トレーニング(全身の主要筋群を対象とした中強度のエクササイズ)。
- プログラムの進行に応じて運動強度と持続時間を漸進的に増加。
測定
- RMR
間接熱量測定法を使用し、運動前後で測定。 - 体組成
デュアルエネルギーX線吸収測定法(DXA)で測定し、脂肪量(FM)と除脂肪体重(Fat-Free Mass, FFM)を評価。 - 身体活動レベル
- フィットネスバンドやアンケートで日常活動を記録。
結果
RMRの変化
- 運動群ではRMRが有意に増加(平均+4.5%)したが、対照群ではほとんど変化が見られなかった。
- 運動群のRMRの増加は主にFFMの増加と相関していた。
体組成の変化
- 運動群では、FFMが有意に増加し(平均+1.2kg)、FMが減少(平均-3.5kg)した。
- 対照群では、体組成に有意な変化は観察されなかった。
身体活動レベル
- 運動群は運動プログラムを通じて身体活動量を大幅に増加させたが、対照群ではベースラインの活動レベルに留まった。
考察
RMRへの運動の影響
本研究は、20週間の運動プログラムがRMRを有意に増加させることを示しました。特に、筋力トレーニングを含む複合的な運動プログラムがFFMの増加をもたらし、これがRMR向上に寄与している可能性が高いと考えられます。
体組成の変化とその意義
運動群ではFMの減少とFFMの増加が同時に観察され、これがRMRの向上に重要な役割を果たしました。
特にFFMは代謝的に活発であるため、その増加は基礎代謝の向上に直接つながります。さらにFMの減少は体重管理や肥満関連疾患のリスク低減に寄与します。
運動プログラムの構成
有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせは、体脂肪の減少と筋肉量の増加の両方を促進する効果的な方法であると考えられます。本研究は、特に肥満女性において、両者を組み合わせた運動プログラムがRMR向上と体組成改善において効果的であることを示唆しています。
長期的な効果と課題
RMRの増加は長期的な体重管理に役立つ可能性がありますが、持続可能な効果を維持するには、運動習慣を継続することが重要です。
また、研究期間が20週間に限定されているため、より長期的な追跡調査が必要です。さらに、参加者の食事制御は本研究では詳細に管理されていなかったため、食事の影響を排除した形でのさらなる研究が求められます。
結論
20週間の運動トレーニングプログラムは、以前は座りがちで中程度に肥満した女性において、RMRを有意に増加させ、体組成を改善する効果があることが示されました。
本研究は、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせたアプローチが、肥満管理や基礎代謝向上に有効であることを明確に示しています。この知見は、健康増進や肥満予防のための運動プログラム設計において実践的な応用が期待されます。